「胡同 北京 下町の路地」という本がある。徐勇という人が北京の昔懐かしい
胡同(フートン)が消えていくのを惜しんで、撮り集めた写真集だ。
北京オリンピック前の大開発でこういう懐かしい景色が殆ど姿を消してしまったのは
非常に残念だ。
この写真集を見ていると、人が全くと言っていいほど出てこない。
人がいないことが却って人の存在を思わせるではないかという考えのもとにこういう
写真が撮られたのだそうだ。
なるほど、こういう路地の奥から、上半身裸で短パンすがたでちょっと小太りの
元気あふれた北京のおっちゃんが汗をかきかきひよいと姿をあらわしそうだ。
それで、その先を曲がると、じいさんとばあさんが、椅子にこしかけて、茶でも
飲みながらなんやら話をしているはずなのだ。
胡同は姿を変えていっても人々は健在だ。
どんな街角がみられるのかぶらりとしてみた。
まず、中国美術館が手近にある。チケット売り場にいくと身分証を見せろと言う。
パスポートを出すと無料チケットをくれた。
中国の現代作家の美術展だ。洋画もあれば、水墨画もある。
さらりと見て、外に出ると道端で書を書いている人がいる。
バケツに水を入れて大きな筆で道路上に書を書いている人は何度かみたことがあるが
こんな風に紙を広げてちゃんと墨で書いているのは初めてだ。
中国の人は書が好きだ。人だかりがして、しずかにじっと見ている。
うまいか下手かようわからんけど。どんだけ書いたら完成なんやろ。
大通りを渡ってたら、野菜売りのおっちゃん達が通っている。
十何億の大国の首都でこういうのがあるから楽しいのだ。
さて胡同に入った。
家は新しくなってしまって胡同とは言えなくなってしまっているが、何となく
空気感は残っている。
写真集のような、あるいは川底下村のような古い四合院がいつまでも残っていたら
見る者には風情があっていいと思えるのだが、そこに暮らす人は不便でたまらないだろう。
文化の保存も大事だが、或る程度時代に合わせて変って行くのは仕方がないのだ。
歩いていると鳥籠に好く出会う。
好く見たら、なかなか良い鳥籠だ。中国の人は鳥籠に凝るのだそうだ。
良い鳥と鳥籠自慢が大事なのだ。
結構、おおきくてキツそうな鳥じゃないか。
この奥はなんじゃろ? 街角めぐりもちょっと疲れてきた。
こんな胡同に巡り合いたいなあ。
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ありがとうございました。