北京789の思い出

北京は胡同が一杯残っていて、最近はいやらしげに改装されて、
やたら金持ち然とした人の住まいなんかになっている場合もあるが、
大体は、古いまま使われていて(改装禁止なんかもあるみたいだけど)
懐かしい雰囲気を残している。
でも、実際に住むとなったら不便だろうな、真ん中に庭があって、
周りを部屋が取り囲む四合院造り、トイレは?台所は?
一家族でも充分機能的でないのに、ましや数家族で住んだらどうなる。
そんな暮らしが、つらいとか厳しいとかの時代の暮らしぶりと共に良く本に出てくる。
こういうところをさまよっていると、大国の首都ながら、古い歴史を持つだけに、
京都の街を歩く時のような懐かしい気持ちになるけれど、
北京ではもっと面白い部分に出くわすこともある。

例えば何時も気になるのは、先日も紹介した今日美術館あたり。
美術館の中もかなり前衛だったり、マイナーだったり、普通とは傾向の違う展示をしているが、
外はもっと面白い。
玄関周りや屋根にまで、面白いオブジェをおいて、その一角に雰囲気を作り出している。
いつ行っても少しずつ変わっていて興味深いのだ。

他に、驚いたのは、789(チーパージュウ)と呼ばれるあたり。
これも以前に紹介したことがある。
普通の住宅街の一角に、廃止になった工場のような倉庫のような建物が並んでいるところがあって、
その中に、芸術家が住み着いて、アトリエを展示室にしたり、展示場を
作ったりしているようだ。
レストランや喫茶店もあるし、本屋もある。
これも奇妙な一角だ。そのエリア一体が前衛オブジェ風にデコレートされている。

これは、そういうところにある本屋を覗いていて見つけたものだ。
絹本仕立てになっていて、昔の貴族か豪族みたいな家族の生活模様みたいなを描いた絵巻風のものだ。
色も綺麗だし、画も面白い。

しかし、この中国の古い絵巻の一品、あの前衛の街角を思い出すよすがとなっている。

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