朝飯を食う。
不安にかられながら朝飯を食う。
天気予報によれば、そろそろ雨が止んでもいい頃だ。
しかし、そんな気配ではない。
気もそぞろに朝飯を食う。
旅館のご主人のおすすめによれば、バスよりもタクシーで行った方がいいという。
タクシー料金は2000円ちょいくらい、4人いればバス代よりちょい多いくらいなんで、楽した方がええんではないかというリコメンドだ。
確かにそう。タクシーやったら、天気の状態次第では、大門坂を後回しにしてもいい。登りと降りでは確かに目に見える景色に違いがあって、熊野古道はやっぱり登りつつ見る方がええ感じなんやけど、言うてられへん時もある。
臨機応変の方がええんではないか。
てなことでタクシーに乗る。
旅館の前まで来てくれるから楽ちんだ。
雨は降りしきる。
知らんかったけど、紀伊勝浦駅から那智山まではわりと近い。タクシー料金でそれがわかる。
道は、山道というほどではない。
バスが走る大通りだ。
20分ほどで大門バス停に着いた。雨が酷かったら、那智大社前までって言ってあったけど、まあ大丈夫ちゃうやろか。
では、熊野古道を歩き始めよう。
最初は少し民家がある。左手に棚田が見える。
南方熊楠が居たという家もある。
昔のお茶屋さんもある。
そして、昔の関所跡があった。いよいよかな。
何となく歩くのが楽しい。
だんだんと本格的な石畳になってきた。
しかし、いったん収まりかけてた雨が激しくなってきた。リュックから傘を出す。
2石畳の両側は杉林だ。
石畳と杉林は典型的な熊野古道の風景ではないか。
しかし、傘は持たなあかんし、アクションカメラも持ってる。デジカメも撮りたい。
雨の中、とても忙しい。
身体能力の覚束ない爺さんがいくら焦ってもジタバタするばかり、映像が乱れるばかり、うまいこといきまへんなあ。
道はだんだんと本格的になる。
ええ感じではないか。
坂も少しずつ急になる。
ええ感じではないか。
多富気王子跡についた。
熊野古道九十九王子の最後の一社ということだ。
旅人からしたら、もうすぐ目的地というわけだ。
大門坂の登りはここから本格的になる。
熊野古道、大門坂、那智大社、那智大滝、補陀洛山寺を巡る旅をYouTube動画にしました。ご覧ください。
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大門坂バス停地図。