コロナ日和の日々、妄想の旅に出る。V国へ、H市からF市へ列車の旅−31、学校帰りの女学生。

学校帰りの女学生。

まだまだ、旧市街を楽しみたい。しかし、夕方までには空港に行ってH市に戻らんとあかん。
その前に刺繍の店に行って、お目当てのやつを買わんとあかん。いろいろ忙しい。
下町、裏町風情はとてもいいけど、そろそろ又、中央の大きな橋を渡ろう。
その前に、簡単に昼飯を食っておく。
アジアのどこの国でも、時間があんまりなくてサクッと食いたい時は麺が良い。
ここでも米の麺で作ったフォーというやつが有名だ。
わりとあっさり目の出汁に具は鶏や牛、モツなどを選べる。それに葉野菜がたっぷり
別皿で来たりする。とてもヘルシーで食べ易い。ちょっと残念なのが、汁がぬるいということだ。
こんなに暑い国で熱々の汁は言う方が無理かも知れん。
サクッと食ったら、橋に向かう。
車道は溢れんばかりの混雑だ。車よりもバイクと自転車が多い。歩道はガラガラなんで
わしは楽に歩ける。
昼すぎて、学校が終わる時間なんやろか、学生風の少年、少女がさっそうと自転車に
乗って走り抜けていくのが目につく。
中でも女学生の制服姿が美しい。この国の正装と言われる女性の服装スタイルがある。
腰がビッタリで、裾がゆったりした薄手のズボン、白が基本みたいやけどいろんな色がある。
その上に上半身にぴったりとまとわりつくような薄手の長い上着をはおる。
細身でスタイルのよい女性にしか似合わないような優雅な美しい服である。
だから、スタイルよい女性が着るととても美しい。
なるほど、フランス統治時代に今のような洗練された姿になっていったらしい。
女学生たちは、この服を制服として着ている。色は上下とも真っ白、白むくである。
とても清楚である。集団で自転車に乗ってる姿がまた、初々しい。
この清々しさはとても有名で、いろんな作家がこの清らかさを描いてはる。
わしも同感だ。

男の子はどうかというと、ごく普通の格好みたい。白いシャツに黒っぽいズボン。
日本の中高生たちとほとんど変わらへん。
さすがに彼らはバイクに乗らずに自転車にのってる。
彼らに混じって、普通のおっちゃん、おばちゃんはバイクで走る。
2人乗りもいる、時には3人乗りさえいる、へたしたらもっと、いやいやそれは
よくある話。それより、荷台に載せてるモノがすごい。バイクに載せる荷物という
ジャンルを遥かに越えてるものがある。豚一頭、牛一頭平気で運ぶ人がいるらしい。
横幅がいくら大きくても、高さがどれだけ高くても、それにどんだけ重くても、
とにかく運ぶ。
天気でも雨でも運ぶ。
暑くても、寒くても、この国で寒い日は珍しいんやけど、とにかく運ぶ。
彼らの辞書に不可能はないらしい。あまりに不安定なモノは人が荷台でそれを持つ。
これやったら、軽トラなんか要らんではないか、そやから小型トラックをあんまり
見いへんのか、とにかくすごい。
いまここで見る限りそこまですごいのはないけど、時々、わしも見かけて信じられへん
思いをしたことが何度もある。
いやあ、やりますなあ。なんでもありや。
この活力が彼らの力やし、見てるだけでわしらも元気をもらえるのだ。
てなことで、橋を渡って、右にまがって、昨日の刺繍の店に行く。
今日は見学はパスして、モノを見る。一応昨日下見をして候補は決めたあったんやけど
いろいろ見たら又悩む。
大きいの買いたいけど額縁ごとやと大きな荷物になる。面倒くさい。もちろん額縁は
外してもらって中身だけ持っていくこともできなくはない。けど、日本でこれに合わせて
額縁を誂えたら相当なお金になる。しかも、両面刺繍やからガラス板、あるいはアクリル板に
挟まんとあかん。これを日本に帰ってからやり直すんは大変だ。
面倒でもこのまま持って帰ろう。
迷った末に買うやつを決めて宿に帰る。

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ありがとうございました。