(注:これは震災の直前にネパール旅行をしたときの旅行記です。一日も早い
復興を心より祈念致します。)
一段落して店先でへたり込んだらなかなか動かれへん。この家族と話しするの
も楽しい。そうこうするうち、お父さんがこどもの頭を刈り始めた。昔はこん
な風景日本でもあったなあって思いながら見ていた。
それにしても上手にハサミで散髪してはる。
わしやったら恐ろしくてこんなんできへん。女の子の髪もお父さんがカットし
てはるんやろか?
こんな山のうえで一家団欒で暮らせたらええなあ。でも暮らしは大変見たいな
事言うてはったような。
休憩が終わったらこのあたりをうろついて見よう。
しかし、途中の景色はすばらしかったけど上まで登ってしまうとそれほどの景
色ではない。
確か、福岡学校という日本の援助で建てられた学校があったはずやけどと、あ
まり真剣にでもなく探してみたが、学校はあったがそうとは思えない建物に出
会っただけであった。
でも今回ここまで、ほんのミニミニトレッキングやけど、やってきてよかった
と思う。ヒマラヤの絶景には出会えなかったけど、雲の陰りのなかですごい景
色を見ることができたし、なにより、そういうヒマラヤを見て暮らす農家や、
そこで暮らす人達にであうことができたのが大きな収穫だ。
帰ったら一杯絵を描けそうだ。
それにしても腹が減ってきた。もう11時を過ぎている。道を間違えたからしょ
うがないけど時間がかかってしまった。食料を全く何も持って来てないのもう
かつだった。水といい、食べ物といい、簡単な山でも甘く見てはいけないのだ。
さっきの売店で何かご飯を作ってくれないか頼んでみたらよかった。
まあ、ともかくそろそろ降りよう。
帰りはもう少し東寄りで試してみよう。それでも心配なんで近くにいた人に確
認してみる。
こっちはえらい急な道だ。足場も悪い。石ころだらけの道がつづく。
細い道をひたすら降りる。
しばらくすると、不気味な音が聞こえてきた。
木をばきばきさせる音もする。ぶりぶりうなる音もする。こんな山道で車が来
るはずもないし、いったいなんやろ? と思う。
だんだんその音が近づいてきた。人の声も聞こえる。
振り向いてみたらトラクターのような車が強引に山を下ってくるのだ。
乗ってる人達が陽気に、「ナマスティ」って声をかけてくる。「何処へ行くんや?」
「そうか、ポカラの街か」とか言いながら去って行く。
かと思ったら1人降りてきて、道を教えてやるという。
トラクターを先に行かせて、側道に入る。
わしらを連れてどんどん下る。トラクターが行ったのが回り道で、こっちが登
山道らしい。も一回トラクター道と合流したところで、又側道を指さして、こ
っちを行ったらええんやと教えてくれて別れた。
えらい親切やなあって驚いたんと、ここはこんなやつが乗り物なんやと驚いた
んとやった。河からこっち側に来るのはちゃんとした道がないんで大変なんや
なあ。サランコットの丘に行ったときに変なおばさんが車に便乗してきて、び
っくりしたけど、この土地の感覚では当たり前なんやな。
それにしても腹が減った。簡単なお菓子かなんかでも持って来たらよかった。
道は歩き難いし気持ちは焦る。
牛が居た。
大分降りてきたのだ。
牛は焦ってない。
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ありがとうございました。