上海に帰ろう
楽しければ時間が過ぎるのが早い。
帰りの列車の時間が近づいてきた。蘇州の市街地は結構渋滞する。駅までは歩いて
3、40分くらいの距離かなと思っていたが、車でも結局それくらいかかった。
駅に着いたがまだ1時間くらい余裕がある。今度は立ち席だから、一般の待合室だ。
さすがに帰りの席がないくらいだ。人で一杯、超満員だ。
「何時の列車?」と隣で待っている人が聞いてくる。チケットを見せると、
「私は夜の10時のチケットしか取れなかった」と言う。6時前に乗れるだけでも
ラッキーだったのだ。これから5時間待ちはしんどいやろなあ。
待合室の横には改札が4つ、5つある。
列車番号によって改札が決まっていて、出発20分前くらいになると放送があるから
そこで切符を見せてホームに行って列車を待つのだ。
時間があるから、その様子を見ていた。
最初に放送があると、列を作って待っていた一団がどどっと中に入って行く。
一応終わると改札が閉まる。それでもちらほらと遅れて来る人がいる。
その人は一番端の改札から入れてもらう。又来る。又来る。
幾らでも遅れて来る人がいるようだ。
皆さん布団袋のようなおおきな荷物を持っている人が多い。時間がないから、係員も
せかすし、本人も焦って走る。荷物が大変だ。
あせらない人もいる。もうアラームのブザーが「ブーーー」と鳴っているのに、
よったり歩いている人いる。性格なんやろうなあ。
最後の「ブー」が鳴ったらもう入れてくれない。
結構退屈しないで見ている内に時間がきた。
ホームにはもう夕暮れが来かけている。その中を新幹線の先頭の丸い明かりがやってきた。
立ち席といってもそれほどぎゅうぎゅうではない。空席を目で探したが、そんなものは
あるはずもない。こんな中でも車内販売のカートが回ってくるので客車内は居り辛い。
出入り口の通路で背中をつける壁を奪い合いながら立っているが、それでも40分
くらいはあっという間だ。
上海に着いた。長い一日。
楽しい旅だった。