水墨画留学の時の杭州暮らしをコロナ妄想的に振り返る話の最終回。
さて、杭州最後の夜が明けた。
学校の授業はまだ少々残ってるけど、残りの日を短い旅で過ごす予定なんでまあええとしょう。
頑張っていろいろ勉強したと言う充実感はあるけど、ここでもっともっと学ばんとあかんというほどの思いは出来へんかった。
もう学ぶもんはないなんてえらそうな事ではなくて、やりたいことがありすぎて時間が足りへんと言う意味だ。
それでも、こちらで知り合った日本人留学生の2人。
一人は、女性、書家だ。日本の書道界の頑固な保守性や家元制的な世界に飽き足らず、しがらみのない中国で実力を磨きたいと、この後は、単身、王羲之の本拠地紹興市にある全寮制の書道学校に留学し直すという話であった。その意気やよし、素晴らしいことではないか。
もう一人は、ずっと語学の勉強と絵の勉強でここに居付いてしまってる。まだまだ帰る気はしない。次年度は浙江大学の語学コースに挑戦するつもりという老男性であった。
あなたもこのまま続けたらどうや。あるいはすぐに帰ってきたらどうや。
いや、きっと帰ってくるよ。なんて盛んに言われてた。
羨ましい。
すごいなあ。
心が動く。
しかし、無理。多分無理。
とても楽しかった。心惹かれる部分は確かにある。しかし、達成感も大きい。
修了証やら、成績証明証なんかは貰ったけど、大して技量はあがったとは思えないけど、いままでになく集中して勉強はしたなあっていう高揚感はある。それが大きな収穫やと思う。
荷造りもできた。
大抵の荷物は既に船便で我が家に送った。それでも結構残ったんで、知り合いの方にもらってもらった。それでも残ったやつは、寮で引き取ってもらう。
寮費の精算は既に終わってる。
空っぽになった部屋をながめる。最初は目の前は大通り、最初は車の音で眠れへんかったけどね。
寮と言うても、元はホテルだったのを改装したやつだ。部屋に洗面台も風呂もトイレもある。ベッドも大きいし、机が入ってても結構広い。なかなか居心地はよかった。しかも、1階部分は店舗になっていて、マセラッティやポルシェのショールーム、大したもんだ。
寮監的なおじさんにチェックしてもらって、ここともおさらば。
荷物が重い。20kgは余裕で超えてるやろ。
一人で階段を降ろされへん。寮監さんに手伝ってもらってやっと降りる。
これはバスで行くのは無理。大通りまで出てタクシーを止める。やっと杭州駅まで着いた。
これから新幹線に乗って上海まで行って、友人たちと合流する。
長かった杭州の街。
めっちゃ楽しい思い出を頂いた。これを忘れることはないだろう。
ありがとう。
てなことで、水墨画留学の時の杭州暮らしをコロナ妄想的に振り返る話はこれでおしまい。