蘇州古園の旅ー13

木瀆老街散策
ほろ酔いかげんで店から出ると木瀆の老街だ。老街をぶらぶら歩きするのは気持ちが良い。
木瀆と言うのは、水郷の古鎮ということで一応観光地ということになっている。
だからだろうか観光客らしき人も多いが地元の人のぶらぶら歩きも多いようだ。
特に何か目立ったものがあるわけではないが、今は修復、再建、再構築の手が入った古鎮
が多いのでとうしても「作られた古さ」を感じてしまうが、ここは全く自然のそのままだ。
石家飯店から奥の方にしばらく行くと、疏水があって石橋がある。その向こうの方、疏水に
そって賑やかな通りが見えている。

この橋が良い。よく中国の画に出て来る台形状に中央が盛り上がったカクカクとした形だ。
橋の袂で老人が二人何かを食べながら喋っている。将棋をしている人達もいる。
疏水の両側に並んでいる家は、古いのもあり、やや新しいのもありでばらばらではあるが
「いつか見た懐かしい景色」のように思える。

疏水は生活排水が流れ込んでいてゴミが浮いているが、濁ってはいなくて透明感がある。
近くの太湖から水を引いているのかもしれない。
そして家並みや緑が水に映ってその透明感を際立たせている。
ここでは時間がゆっくり流れていそうだ。

通りでは、蘇州名物の臭豆腐を揚げている店があって、遠くからでもその独特の匂いで
直ぐにそれとわかる。それほど格別に臭いのだ。
もう少し歩いて行くと、少し人通りが少なくなった。
「この家は、○○時代からある古い家だよ」とか、「この木は古いねえ」とか
老師は故郷の街を解説しながら歩いてくれる。
ちょっと横を向くと、麺が干してある。
もう少し歩いていると、老婆が座っていた。

この隣に座って暫く時を過ごしたいものだ。

何も特別なものはないかもしれないが、何か豊かで心温まるものがある街だ。