蘇州古園の旅ー14

砂糖黍の汁
少し肌寒いが天気は良い。かなり歩いたので体が温まってきた。
又、賑やかな所に出た。多分、このあたりが、観光地の中心地なんやろうなあと
思わせる賑わいだ。ちょっと歩けば直ぐに人に当たる。露店のおじさん、おばさん
から声がかかる。
「安いで、安いで」、「美味しいで」、「こんなんどや」
どこに行っても疏水がある水郷の街だ。ここでは、疏水を廻る観光舟まであるようだ。
紅い提灯の舟が手こぎでゆっくりと流れている。
「これ美味いで」
いきなり老師が、露店のおっちゃんのところに近寄って行く。
おっちゃんは何やら機械に押し込んでハンドルを力を込めて回しているのだ。
機械に押し込まれて惹きつぶされたカスがその前に山のようになっている。
どうやら竹の棒のような砂糖黍を20cm程の長さに切りそろえて機械に押し込み、その
汁を絞りだしているようだ。
「現搾甘藷汁」と書いてある。そのまんまや。
「天然食品」とも書いてある。その通りやなあ。
「飲みたいなあ」と言うと、老師が買ってくれた。
1杯3元だから50円弱、このカスの量を考えると安いといえるだろう。
グリグリ回しているハンドルの下のほうに汁がたまる場所があって、そこの蛇口の
ようなものを捻るとジュースが出て来るという仕掛けだ。
「甘い」
自然な甘さで、濃厚すぎず、薄すぎずでおいしい。えぐみもなくて飲みやすい。
飲みながら歩いていると、時代劇の扮装をした若い男女が集まっている。
「映画かテレビの撮影かな?」と思って良く見ると、あちらにもこちらにもいる。
俳優ではなくて普通の若者達だ。貸衣装屋が近くにあるのだ。
呉越の話ととか三国志とかは中国では何度も映画やドラマになっている。
そういう役柄に成りきって写真をとるのだろう。

さてぶらぶらしている間にぐるりと一周したようだ。
元のところまで戻って来た。車を待っている間に胡桃を買わなくては。