桃源郷のような南屏村
「やあ、最近どうでっか」、「まあ、ぼちぼちでんなあ」
「昨日は街へいってたんか」、「ちょっと買い物あってなあ」・・
何の話をしてるんだろう。ちょっとまぜて欲しい。
「暑いなあ、おばあちゃん」、「ほんまに暑いわ」
名残は尽きない。
時計を見ると、ここまで30分、この中で30分。順調だ。
このままいくと昼頃には大体めどがつく。
車に戻って、「この後は、南屏村と、西逓村に行くけど、順番はまかせる。
便利な方で行ってや」と言うと、
「先に南屏村に行く」と言う。
農道のような、しかし舗装された道をやはり30分ばかり走ると、見渡す限り
田圃の中だ。そんな中にポツンと事務所と駐車場がある。
「ここから歩いて行け」というのだ。
遙か先に、桃源郷のようにひっそりとかたまった集落が見える。
「なかなか感じのええとこやんか」
「やっぱり来てよかったなあ」
集落に通じるたった一本にあぜ道をゆっくり歩いていくと川があって橋がある。
背後の山を背負って、ここもこうやって風水に守られて暮らしているのだろう。
村にはここからしか入れないようだ。
橋まで行くと釣りをしている。
そして、木陰の草むらをあるいていると馬が草を食べていて、
お堂があって、村に通じる小道がある。
「なんか、ええとこやなあ」
しみじみとしてしまう。