北京の春ー14.平谷桃花園で果てしない桃林を見た

さて、車は平谷区へ向かう。
地図で見ると、北京の東、80kmくらいのところだと思える。
一旦北に行って空港の側を通ってから左に曲がると真っ直ぐのはずだ。殆ど高速で行けるので
1時間半くらいで着くだろう。
空港の側とは思っていたが殆ど空港の中を通り抜けて行く感じだ。
今日は風が強い。
空港に近付くと例の柳絮を飛ばす楊樹の林が見えて来た。楊樹の枝が真横になるほど風に靡いて
いる。柳絮がびゅんびゅん飛んでいる。
「くしゃん」やっぱりこれで花粉症がでてきた。
鼻をぐずぐずしながらも平谷区あたりまできた。
桃の林が見えて来る。
「ほうこんなんか」
大きな区画の中に何千本とも見える桃の木が整然と植えられている。
それが何区画もあるのだ。
中国人にとって桃の花というのは春の訪れを告げる縁起の好い花で、桃の実は昔から不老長寿の
霊果としても愛されていて、桃源郷という言葉があるくらい、桃の花に囲まれた暮らしは理想の
暮らしなのだ。
来るまでは、賀名生の梅林や月ヶ瀬の梅林、吉野の桜林みたいな自然の景観の中にある大きな
桃林を想像していたが、これはえらい違いだ。
とっちかというと滋賀の叶匠壽庵、寿長生の郷みたいな感じを巨大にしたようなものだ。
あるいは梨狩り、葡萄狩の梨や葡萄の木を桃の木にしたみたいな感じ。
平地に整然と植えてあるのだ。
「降りて、見物しますか」

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家族連れが思い思いに、桃林の中を散歩して記念写真を撮っている。
遠くには、川底下村に行った時に見たような山西省に続く山並みが見えている。
花はまだ6分か7分咲きと言ったところだ。
香りもそれほど強くない。

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しかしまあ、どんだけ広くて多いんやろ。
いけども行けどもきりが無い。帰り路をよう覚えとかんと帰れなくなる。

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変な心配をしながらも歩くだけあるいたが、あまりのきりのなさにええ加減あきてきた。
やっぱり野山があって、小川が流れていて、ちょっとした東屋なんかがあると
風情があって画にもなろうというものだが、平地にべたべたとこれでもかというくらい
桃の花をならべられてもそれほどの感興はわかないのだ。
去年行った、北京の植物園の方がましやったかもしれん。

「ええ加減にして帰ろ」
ここでも風が強い。

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ありがとうございました。