この村を降り切ると道路を挟んで、向かい側も山の斜面が降りてきている。
その斜面が丘のようになっていて、向かい側の川底下村が一望できるようなのだ。
今度は家がないので一気に登る。
登りつくと老師が待っていた。
「なかなかええ景色やろ」
「ここでちょっとスケッチしょうか」
確かに、ここからどーんと村中が見渡せて気持ちがいい。
けど、両手一杯広げてもあまりそうな景色をどうやってスケッチしよう。
「全部そのまま描く必要ないんやで」、
「重要でないとこははしょってくっつけたりして描いてもええんや」
ふだん、一緒にスケッチすることなどは殆どないので、アドバイスを聞きながら
スケッチするのは楽しい。
「けど、道具持ってへんで」
「何でもええんや。何かあるやろ」
それで、持ってた資料の裏にボールペンで描くことにした。
友達と三人で思い思いに分散して描き始めたら、すぐに人だかりだ。いろんな
人が入れ替わり立ち替わりやってきて、
「どないやねん」と見て行く。
私の画を見ても、黙って去って行くから、きっと
「たいしたこと、あれへんなあ」とか、「こいつ下手やなあ」とか思って
去って行ったのだろう。
古い四合院の建物と古い壊れかけた瓦屋根、痛んだ石垣、そういうものが不揃いに
甍をならべている感じが味があっていいのだ。見厭きない。
30分程経って、「できたか?」、「まあまあです」
老師も詳しいスケッチというよりは、家や屋根、石垣の形の特長や配置の感じなどを
ざくっと描いていたみたいだ。
「帰ったら、これを課題に描いてみようで」
どんな作品ができるのだろう。
私のスケッチを帰って少し手直ししたのがこいつです。
「ほなら帰ろか」
道にでると、後から後から観光客が詰めてきていて小さな駐車場は飽和状態で道まで
溢れている。そこに突っ込んで来る人、帰る人でごったがえして渋滞が起こりかけていた。
何とか切り抜けて、帰りは間違うこともないはず、一気に北京市内に向かう。
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ありがとうございました。