北京の春ー11.いきなり潭柘寺へ行くぞと言われて

結構疲れた。後はもう寝て帰るだけだ。
みんなグーグーだ。ふと眼が覚めると、もう大分走っている。永定河の本流あたりまで
帰ってきたのだろう。少し大きな町を通過中だ。
「もうじきやなあ」と思っていたら、道路標識を眺めていた老師が突然叫んだ。
「『潭柘寺』があるぞ! 折角やから寄っていこう」
それで運転手とわいわいと交渉を始めた。
「あと20kmくらい走ったら行けるそうやから、行く事にしたで」
「北京に来たら絶対見逃せへんとこやで」
ようわからんが、まかせるしかない。
しかしかなり遠い。街をすぎて、田畑を過ぎて、だんだんと山の中に入って行く。
結構上に登り始めた。
それでまだいくつか山を越えてやっと着いた。
千数百年以上前に出来た、北京の街より古い寺だというからすごいもんだ。
というもののもう一つ気が乗らない。
建物が古いとか、珍しい老木があるとか、とにかく有名だとか言う話であるが、
仏教の寺なら、なにか仏教的な出来事と縁があってそれを偲んでどうのこうの
とかいう話になると思うがようわからん。
それに建物自体は古くはない。きっと立替えされている。
老師は、「この白い松はとても珍しいんやで」とか

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「むかしから有名な文人がかならず訪れたんや」とかいろいろ楽しそうに説明
してくれるが、申し訳ないがもひとつピンとこなかった。

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柘というからにはつげの木が有名なんやろか?
確かに味のある形の木が多い。
画のネタになりそうなやつが沢山ある。

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この花は何の花やろう?
近くにいた売店の娘に聞くと、桃の花なんやそうだ。
枝にべたっとくっついて咲いている。綺麗やけど変な花!

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「おっ鳥の巣や」何の鳥なんやろ?

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老師は、「来てよかったやろ」と盛んに言ってくれる。
本当に申し訳ありません。よう分かりませんでした。
感受性が鈍いんやなあ、私は。

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ありがとうございました。