中国地方、美術館の旅ー21、安野光雅美術館に行く。

安野光雅記美術館に行く。

津和野には安野光雅美術館というのがあるらしいと同行の友人から聞いた。
恥ずかしながら知らんかった。美術館があると言うのも知らんかったし、
そもそも安野光雅という人を知らんかった。
水彩画を描いた人らしい。
しかも三國志なんかを題材にした作品が多かった人らしい。
わしらが勉強してる水墨画やよく行く中国旅行の世界に通じるものがありそうだ。
せっかくここに来たからには是非とも行ってみたい。
地図を見たら、うまいぐあいに駅前近くにある。では津和野観光の前に行ってみよう。

看板を見ると、ちょうどうまい具合に追悼展をやってる。
中に入ると売店を兼ねた広いロビーがあって、奥に展示場がある。
記念品やチケットはクレジット払いもOKなんで便利である。作家個人の記念館としては
大きくて立派で活気があるんではなかろうか。
見学者が多い。
中国や三國志に興味がある人が多いのか、地元の作家やから親しまれているのか。
どっちにしても賑やかなのはええことだ。
展示場も広そう。今回は、「繪本三国志」の原画を中心に展示してはるみたい。

安野光雅さんが、実際に現地を訪問して取材してきたらしい。
懐かしい場所がいっぱいある。

おう、ここ、ここって思わず声がでる。
中国を知り尽くしてるわけでもなんでないけど、結構あちこち旅行してる。
そういうところに出会うととてもときめく。
たとえば白帝城。
三國志の中でも、漢王、劉備玄徳が亡くなる場所だ。
ここは、わしが、始めて旅行として中国に行った時、その目的地は三峡下りだった。
友人とたった二人やったのに、そのツアーはわしらだけ。
アホみたいにデカい船に載せられて、悠久の長江を巡ったのがもう20年以上前のことだ。

巨大な甲板に座って日がな一日、のんびりといえば聞こえはええけど、ひたすら
ドロの河が延々と流れていくのをアホみたいに暇そうに見てただけの旅やった。

それはそれでけっこういろんなこともあってとても楽しい旅だった。

その時に当然、白帝城にも寄った。三峡ダムができる時に沈むはずったんで、上の方に
移築したらしい。

遺跡というよりは何となく作りモン、そうとう嘘くさい感じがするところでもあった。

あるいは、たとえば剣門関。
諸葛孔明の発案で蜀の国に籠って力を蓄えたという話がある。
蜀は天然の要害に囲まれた国で、出入りするには天下の剣を通らねばならない。
その最たるところが剣門関だ。
てなことで、13年ほど前に訪れたことがある。

ちょうど、四川省の大地震の後だったんで、ほぼ壊滅的な被害を受けたということで
わしらは、事情がわからんまま、車をチャーターして行ったんやけど、やっぱり
えらいことやった。

ほぼ立ち入り禁止状態やったんやけど、行けるとこまで行こうと入っていったら、

あちらこちらで再建工事中。修復工事中。

多分昔の状態を保存というよりはほぼ新しいモンができるんやろなあ。

それに古色をつけるのは得意中の得意らしい。
つぎはいつ来れるやろか。
残念ながら撤退であった。
その流れで、蜀の桟道も行ってみた。

もちろんここもほぼ壊滅らしい。

侵入禁止ではあるけど、いけるとこまで覗きにいく。

木の橋がバラバラになってる。

というても、三國志の時代から残ってるはずはなくて、もちろん近年再建されたもんなんやろけど
またまた、倒壊したということだ。

さすが、歴史に名を残すだけあって、すごいところだ。
ここに道を作ったというのがすごいと思わせる雰囲気は漂ってる。
中には入れんけどちょっとだけ、気分を味わせていただこう。
聞くところによれば、その後見事に復興して、いろんな施設もはるか昔からそこに
あったかのように古色もつけられて、立派なやつがドンと迎えてくれるのだそうだ。
なるほど、もちろんそうやろねえ。

わしの旅は実にええかげんなもんなんでそれを元に絵を描いてもロクなもんはできへんけど、
安藤光雅画伯は三國志ゆかりの土地土地をきちんと取材されて、それを元に素晴らしい絵を
描かれている。
中国のその地の風景が目の当たりに浮かぶようでとても良い感じだ。
あんまり旅心を揺さぶられてしまったんで、「繪本三國志」の本を買おうと思った。
売店にはならんでる。
結構高価で、しかも重い。
持ち歩くのは大変だ。膨らんだ気持ちが萎んできた。これって、家に買ってアマゾンなんかの
通販で買ったら安く買えるし、送料も要らんのとちゃうやろか?
そう思って、思うことにして、帰った。
しかし、調べてみたら、これはもうすでに販売が終了してるんで、古書扱い、ほとんど
品物がない。そうとわかるとまたまた欲しくなるのが愚かな人のあさはかさ。
やむをえん、この安藤光雅美術館に電話してみる。通販していただけるそうだ。
重いんで送料は結構高い。
やむをえん。
なんや、これやったら少々荷物が重くなっても買って帰ったらよかった。
浅はかなことをした。

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ありがとうございました。