コロナ日和の日々、妄想の旅に出る。麗江、シャングリラの旅−03,北京、老舎記念館へ。

北京、老舎記念館へ。

水上勉の「北京の柿」という短編集がある。
その中の「北京の柿」というタイトルのエッセーは作者が北京の老舎の家に行った時の話だ。
老舎というのは、「駱駝祥子」や「茶館」などを書いた素晴らしい作家で、わしは大好きだ。
必ずノーベル文学賞をもらう人だと言われてたけど、あの「文革」の騒ぎの中で、紅衛兵たちの
追求、攻撃を受け続けて悲憤のあまり自殺してしまった。
水上勉は本人と会ったことがあって、その死後、彼の家を訪ね未亡人とも再会するという
内容だ。北京の裏通りの胡同の中にあって、質素な四合院作りの家にすんでいて、庭には
2本の柿の木があったという話。
事前にこの本を読んでたらよかったんやけど、そんなん知らんかったけど、わしの大好きな
老舎の記念館があるというので行って見た。

晩飯を食った後やからもう真っ暗だ。
老舎の記念館は水上勉が訪れたという自宅を記念館にしたもんやと思う。閉館ギリギリ、
ちょっとだけ見さしてもらう。かなり古びた四合院、つまり四方に建物があって、その真中に
庭がある、という伝統的な作りの家だ。薄暗い中こういう家の中に入るのはちょっと
ゾクッとする。四合院の4つの建物すべてが記念館というわけでもないらしい。えらく
ひっそりしてる。庭は相当荒れていて、防火用水のような、それとも大型の植木鉢やったんやろか、
大きな素焼きの瓶がゴロンところがっている。木が何本かある。
それが、柿の木であったのかどうか、そうではなかったような、少なくとも手入れされて
大事にされた木ではなかったような。時間がないんで薄暗い記念館の中をさっと見て、
老舎の暮らしぶりにさらっと思いを致して、アタフタと中国語版の「駱駝祥子」や「茶館」などを
買った。読んでもわからんのやけど、中国は本が安いし、挿絵もあるし、なにかの記念やし、
それでいい。
事前に北京の柿を読んでへんかったからさらっと帰る。
駱駝祥子の時代ってどんなんやったんやろ?
頃は清朝の末期の時代。ある若い車引の物語だ。
体力だけがとりえの人力車の車夫「祥子」の奇想天外、冒険に次ぐ冒険の物語。
コツコツと爪に火を点す暮らしをしながら金をため、やっと自前の車を手に入れる。
それが一瞬になくってしまった。
なんとかせんとあかんとあがく毎日。
北京の裏通り、表通りを車を引いて疾走する。
努力はすれども、うまくいきかけたら邪魔が入る。
そして、人力車の元締めのオヤジの娘に何故か気に入られる。それが結局運の尽き、
婿になってもいいことはなにもない。
あがけばあがくほど泥沼に落ちていく。
こんな理不尽になんでつきまとわれる?
昔の北京の地を這うような暮らしが見事に立ち上がる。とても良い。
なんで北京にラクダがあるの?
お抱え車夫の暮らし、流しの車引の暮らし、親方に雇われの暮らし、市井の暮らしと
車引の人生。
とてもおもしろい本だ。
老舎記念館を出て、胡同の裏通りをぶらぶらしてたら、夜市に出くわした。
これも観光名所になっているような有名な夜市らしい。とても賑やかだ。先程までの
うらぶれた寂しい界隈とはえらい違い、電気が煌々とひかって、肉がジュウジュウと焼ける
音と匂いが通る人を引き寄せてる。
麺を食わせる店もある。熱々の豚まんを蒸してる店もある。中国にきて屋台店に行ったら
かならずみるサンザシの飴もある。食う気はないけど、見たら安心するからおもしろい。
北京にも沢山いるイスラム系の人たちの串焼きが美味い。ズーランと言われる、独特の
香辛料、普通クミンと言われるやつなんやけど、これをたっぷりかけたとてもスパイシーな
やつだ。店の人も通る人もとてもテンションが上ってる。居るだけで元気をもらえる。
こういうのが北京の良いところだ。

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ありがとうございました。