コロナ日和の日々、妄想の旅に出る。V国へ、H市からF市へ列車の旅−09、では駅に行こう。

では駅に行こう。

H市はこの国の南の端の方にある。ここから北の端の方にあるHa市までこの国を縦断する
列車が走ってる。更に言うと、連続はしてないけど、Ha市から中国に入っていける路線すらある。
つまり、Ha市から北京まで行く、あるいは逆のツアーすらあるくらいなのだ。
ポール・セローの中国鉄道大旅行に出てきそうな路線ではあるけど確かその本にはで取り上げられて
なかった。ポール・セローといえば、鉄道旅の達人みたいな風があって、それはそう言う本を
沢山書いてるからやけど、その内容や旅の姿勢もとても興味がある。
ただ、日本人やアジア人あるいは英語を話さない、話せない人たちを若干見下してるように
思える描写が多々あってそれがかなり気になるけど、列車の旅は素直に面白くて、行きたくなる。
あるいは、沢木耕太郎の「オン・ザ・ボーダー」という本の中に、この国の、
H市からHa市まで、列車ではなくてバスで縦断したという紀行文が含まれている。
あるいは、その文の中に、主人公が持って行ったという林芙美子の「浮雲」という
小説が出てくる。昭和の時代、大戦中の混乱期に若い女が流れ流れてこの国まで
やってくる話だ。南国の怠惰でやるせない空気感がすばらしい。
何に影響されたか定かではないけど、今、手の中に、Ha市ではなくその手前、縦長の
路線の中間くらいにある古都、F市までのチケットがある。夜行寝台列車、ソフト寝台、
2段ベッドの下側だ。
上がええかどうか?
やっぱり一番下がええと思う。上に登るのは面倒くさいし、下段は身の回りがかなり
広くて使い易い。トイレに行ったり、車内をうろついたりするのにもとても便利だ。
しかし、この時は、1人旅で不安が一杯やったし、スーツケースも持ち歩かんとあかん。
上やったら、荷物を上にあげて(ちなみに荷物室も上にある)その横で寝るから
安心やし、隅っこでじっとしてられるから気楽なんとちゃうやろか?
こんな風にも考えて大分迷ったけど、やっぱり下が良い。
さて、駅に着いた。駅までの交通手段はタクシーだった。バスがあったとしてもどこから
どう乗るか調べてなかったし、バイクタクシーが便利やったんやろけど、スーツケース持っての
乗り方に、乗せてもらい方に習熟してない。この国はタクシー代が比較的安いんでつい
面倒を避けてしまう。
駅前は、市街地に比べたらそれほど賑やかではない。

バイクの数も少ない。列車を利用する人は比較的少ないようなのだ。
前に、この国の若い人たちと話をしたことがある。その時の話の流れで乗り物の
話になった時、近距離は圧倒的にバイクやし、長距離は、バスか飛行機、列車なんか
考えられへんという事だった。遅くて不便で小汚い、良い子はこういうのは近寄らない、
そういうイメージを持ってるようだった。
それでかどうか、駅前の賑わいはちと寂しいけど、バイクの人や、物売りの人は
そこそこ集まってる。
今は、昼の11時前、列車の出発は12時20分だ。
ここらあたりで昼飯を食っておけばちょうどええんやけど、そういうお店は見当らへん。
定番のフランスパンを売ってるおばちゃんがいてる。
フランスパンに具を挟んでサンドイッチにして売ってる店もある。
しかし、何もない事を想定して、昨日のうちに市街地のパン屋さんに寄ってフランスパンを
買ってある。チーズとウィスキーは日本から持ってきた。
今日の食事はこれだになるかもしれん。まあ、それはそれでいいのではないか。
駅の構内はもちろん暑い。
待合席は沢山あって、列車を待つ人でそこそこ埋まっている。
改札のとこまで行ってみたら、女性の係員にもう少し待てと言われた。わしも椅子に
座って待っていよう。

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