えらいおいしい口のまま店を出た。入る時に見た、自転車タクシーのおっちゃんたちが
まだいる。と、老師が交渉を始めた。
「次は耦(オウ)園ていう庭園に行くけど、タクシーでは行かれへんのや」
「これで行ったらすぐやで」
タクシーが簡単に入れない小さな路地の先にいいものがあるのだ。これも世界遺産の
一部だ。「1台15元で行ってくれるそうや」、交渉成立だ。
またもや車は小巷の中を疾走する。
細い路地から路地を右に曲がり左に曲がり、人をよけ、バイクとすれ違いながら疾駆
するのは気持ちが良い。
天気は暑いが風がすずしい。
目線の高さとスピード感が車より遥かにいい。見える範囲も広い。
「こりゃあ、ええわ」
今まで、タイやベトナムに行っても、インドに行っても、勿論中国でもこういう乗り物
はトラブルの元と良い聞かされてたので、正直に避けてきた。
しかし、こんなに気持ちがいいのなら考えを改めなければいけない。
やっぱり見たい、感じたい風景に見合ったスピードや視界を持った乗り物があったら
それに越したことはないのだ。
「ちょっとここ、見ていこか」いきなり、とある古い建物の前で止まった。
実はもうチェックアウトしてスーツケースを持ったまま移動している。
この自転車タクシーにもスーツケースを積みこんでいるのだ。それでこんなに走って
くれるのだからありがたい。
「荷物だいじょうぶかな?」という顔をした。
「わしらはちゃんと、こんな鑑札を持ってるから絶対大丈夫や、安心して見に行っといで」
と言ってくれる。こういう状況は信用しないといけない。
寄り道も堪能して、更に走ると疏水に行きあたった。
水の街、蘇州は到るところに疏水があって、流れに沿って木が植えられている。
大方の庭園はそういう疏水の傍らに造られていて、周りの木々や疏水からであろう豊かな
水を利用して風景を創っているんのだ。
老師は更に交渉している。
「ここで30分程、待ってもらって、次に○○まで行きたいんやけど、どや」
とことん活用する気だ。しかし、「30分は待たれへん」、「しゃないなあ」
大の大人二人とスーツケースまで運ばせたので気が咎める、「こっちはチップあげても
いいですか?」、こういうのは両方同じにしないとまずい。
「ええよ、こっちもあげてるから」
この「耦(オウ)園」、入り口の景色がなかなか感じが良い。
江蘇省食の旅-21、自転車タクシーで疾走
- 2010年8月29日
- 浙江蘇、安徽他/黄山、古鎮、墨硯紙筆
- あじあの街角, 古鎮の旅
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