江蘇省食の旅-17、蘇州、藝圃

中国の庭園は、小中見大を持って良しとするということだ。限られた空間をいかに
大きく見せるかという工夫が様々になされている。だから遊歩路は実に複雑だ。
山を登り、滝を下り、遠く岩山を見、池の畔の東屋で柳のしだれを楽しむ。こういう
ことを狭い空間で一気にやれるよう考えられている。しかも正中求変、常に正規の
型がありながらも変化を求めることも大事だと言うのだ。
蘇州の老街で狭い路地をぐるぐる回ることで、右をみたら、おばあさんがいてる、
左をみたら駄菓子屋がある、その先は行き止まりで、途中を右にまがらないと
先に進めない。もう庭園鑑賞の世界に入ってしまっていたのかもしれない。
「この辺りやったけどなあ」と進路を変えつつ到着だ。
この「藝圃」という庭園、どことなく品がよい。蘇州の文化の香りを感じさせる
雰囲気を持っている。
一気に見通せなくて複雑に曲がりながら進む。要所要所に円形のくり抜き門があって、
その穴から景色をみせることで、一幅の画のように思わせる工夫と、遠近感を錯覚させて
大きくみせる工夫があちこちにある。
ただ、小賢しいことばかりあまりしないで、ドンと大きい茶館を建てて、庭園に面した
窓を壁いっぱいに大きく開けることですばらしい開放感を作っているのだ。
こういうところに座って、茶を飲みながら、いつまでもお喋りしていたら実に楽しい
だろう。
「変化もええけど、あんまりごちゃごちゃはかなわんわ」と中国式庭園に少し辟易
しかけていたが、ここにはこころ安らぐ空間があった。
ちょっとした戸口に先の通路に芭蕉が実に画になる形で植わっていたりする。
東屋もしだれ柳も、池に映って池の蓮の中で2重の景色を作っている。
老師が薦めてくれたように、実にいい雰囲気だ。
「やっぱり画になるなあ」
めまぐるしくて暑さを忘れていたが、水を買って飲もう。閑かな空間ではあるが、
暑いのは暑いのだ。油断していたら熱中症になってしまう。

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