さて、夜が明けた。外はどうだ。霧で真っ白だ。これは日の出を見るどころでは
なさそうだ。でもまあ、万一の僥倖で太陽が出た頃、棚田を霞越しにでも見れたら
これもまたええ風景になるかもしれんと期待して出発することにした。
まあ、藁にでもすがりたい気持ちということだ。
前回ここに来たときはそんな心配は全くしなかった。晴れるとわかってたから。
それより吹きっさらしの展望台、というよりは斜面に杭を打って柵をつくっただけの
簡易的なもんなんやけど、それだけにえらく寒いんで薄手のダウンを着てても震える
ほどで、それでもええ場所は取り合いになるんで一旦場所取りしたら動けない
状態でじっと日の出を待ってたら、背中をトントンたたかれた。子供を背負った
少数民族の女性がゆで卵を売りにきたのだ。元々、押し売りもどきの物売りは
好きではないんで邪険にしてたら、通訳の女性が一生懸命買っている。
聞いてみたらここの村は新聞でも話題になるほど貧しい村なのだそうだ。こんな
ことくらいせんとどうすんねんという顔をしてる。反省して卵を買ったあと、
横にいた小さな子供にホテルで持たせてもらったお弁当、中身はまずそうな菓子パン
とケーキもどきやったけど、それをあげたら、ひったくるように受け取って、
貪り食ってた。通訳によればこういうものすら食ったことがないはずやと言う
それを見てると、とても切なくなってしまった。
今はどうなんやろ。生活は少しはましになったんやろか?
もしゆで卵売りがいたら絶対買おうって決めていた。
で、今回、日の出が見れずにがっかりして帰る直前に入園を禁止されてる観覧席の
門の前に売りに来てた。ガイドさんが値切ろうとするのを制して言い値で買った。
どうなんやろ? 前より子供の服装はよくなったと思うけど・・
話は元に戻る。
朝霧というより濃霧の中を展望台に着いた。
おや、観覧席は前と違って建物の中になっているではないか。
ガラス張りの大きなテラス状の部屋の中で日の出を待つことができるようになってる。
こんなん贅沢しすぎやんか。座ってたら熱いコーヒーまで出てくる。それに、
他にお客さんはいてはれへんからどこにでも座り放題だ。
まあ、こんな天気で何も見えへんのにくる人なんかおるはずがない。貸切状態だ。
ここで一応日の出時間までは待ってみよう。
暇やからうろうろするけど行くとこがない。
テラスから外にでて、階段状の観覧席に行くこともできるようになっている。
天気がよかったら、テラスのガラス張りの中よりは外の方が景色が良いはずだ。
でも今は何も見えへん。
目を凝らしても無駄だ。
あきらめ悪くいつまでもグズグズしてるけど状況は改善の兆しがない。
しかたない。ホテルに戻って朝ごはんを食べて、何箇所か棚田鑑賞ポイントに
行くだけは行ってみよう。雨霧ごしに少しだけでも見えるかもしれん。
下に行けば見通しもいいかもしれん。
ちょっとでも見えそうなところではためらわずにバスを停めよう。
ええように考えて、悔しいけど出発だ。
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ありがとうございました。