中国、浙江、温州、奇山、古村の旅-34、西湖、蘇堤へ

この日も天気は無愛想やけど雨は降っていない。いつものように朝飯を食いに
行こう。ホテルの近くに小さな市場があって、わしがおった頃はその市場の一
角に包子(豚まん)屋さんがあって熱々のやつを一つ1.5元くらいで買って食
うととても美味しかった。ところが、前回来た時には市場が大きく改装されて
その店はもうなかった。今回、新しくなった市場を見がてら、もしかしたら、
ああ言う店は庶民の為にあるんやからつぶれてもすぐにできるはず、きっと新
しい店があるはずやとの期待もあって市場を見に行った。

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ここは卸売市場とは違うから朝早くには開いてない。

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しかし、それにしても前より開いてる店が少ないんとちゃうやろか。天気が悪
いんで開店が遅いんやろか?

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綺麗になったけど活気が少なくなったんとちゃうやろか?
前は朝からわいわい声かけてきたけどなあ。
日本人が団体で来たんで警戒してはんのやろか?
包子の店はやっぱりあった。そこで熱々の肉まんと野菜まんを買って、ホテル
に持って帰って食べる。これで元気が出た。今日は蘇堤を歩くのだ。
蘇堤というのは文字通り蘇東坡が造った堤防という意味だ。蘇東坡というのは
有名な詩人ではあるが、えらい役人でもあったのだ。その堤防は西湖の西岸の
殆どを占めるような長いものでゆっくり歩いて1時間半ほどかかる格好の散歩道
になっている。
しかし、そこまでが簡単に行けない。
杭州は地下鉄が出来てとても便利になったけど、その代わりにバスの便が不便
になった。今回はしかたなく蘇堤の入り口までチャーター車を利用する。

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朝の散歩の時に向こう側に見えていた景色だ。
最初の西湖十景、「花港観魚」。

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こういう名前のついたスポットは特別人が多いけど、総てが印象的な景色とは
限らへん。
むしろ自然な柳や蓮の風景が美しい。

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岸辺には客を待つ船が暇そうに停まっている。

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芥川龍之介に「支那遊記」と言う作品がある。上海、蘇州、杭州などを旅し
たときの紀行文のような内容で、西湖の事もかなりのページを割いて描いて
ある。さすがに巨匠の文章はすばらしい。
その一部を引用してみよう。
:ホテルの前の桟橋には、朝日の光に照らされた、槐の葉の影が動いている。
其処に我々を乗せる為に、画舫(がぼう)が一艘繋いである。画舫と云うと
風流らしいが、何処が一体画舫の画の字だか、それは未だに判然しない。唯
白木綿の日除けを張ったり、真鍮の手すりをつけたりした、平凡極まる小舟
である。その画舫は我我を載せると、好人物らしい船頭の手に、悠悠と湖水
へ漕ぎ出された。・・・・:芥川龍之介著、「支那遊記」より。
後で、この時のホテルというのも教えてもらったけど、ここでは、観光用の小
舟の事を画舫と読んでいるのを思い出した。今でも、遊覧船のことを画舫って
呼んでるのかどうかはわからない。
小さな船でゆらゆら観光するのも楽しい。

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この向こうの島の手前にある、写真では見えにくいけど、海の中の3つの灯籠
は中秋節の晩に灯をともすのだそうだ。

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画題としてはよく使われる。
だらだら歩いている内に蘇堤も終わり近い。
6月頃なら蓮の花が咲いてベストシーズンになるんやけど、そうなると今の数倍
の人出になる。恐ろしや。
黄賓虹と言うのは有名な画家だ。

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かっこええなあ。あやかりたい。
おや、笛を吹いてはる。

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西湖のあたりはいつ来てもこういう芸術家がいてはる。
踊りを踊る人、歌を歌う人、書を描く人、武術をする人、様々やけど、やって
みせて、「どやっ」って顔をする人もいてるし、静に演奏するだけのひともいる。
人が取り巻くこともあるけど、何故か風景に溶け込んでいるように見えるのが
おかしい。

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ありがとうございました。