うどんを食って元気になった。さて、出発しよう。しかし、一度ああいう具合
にしんどくなってみると不安は拭えない。こまめに休憩しながら走ろう。
30分ほどでサンセットビーチと言う道の駅まで来た。もちろんここで一休み。
冷たい水を買って飲んで、ソフトクリームも買って、ちょっとやりすぎやねえ。
いきなりゆるゆるや。
それで再出発。
ゆっくり休み休みやから調子が良い。調子が良い時にわりと平坦なところをク
ロスバイクで漕いで行く感覚はとても気持ちがいい。丁度ええくらいの負荷が
足にかかってその負荷分だけすーっと自転車が進む。歩いたり走ったりするの
とは違うスピード感による快感がある。これが癖になったらやめられへんのや
ろなあって思う。
すぐに大きな橋が見える。と言うことは上り坂だ、しかし、しまなみ海道設計
の妙、上りはあんまりきつくない。ゆっくり上ったら息もあがらへん。
登り切ってから一休みしよう。又、悪い癖だ。
すると、反対方向から来た外国人が一人休んではった。
赤ら顔で縦にも横にもでかい人だ。ちょうどわしも休んで景色見ようと思てた
とこなんですぐ横に自転車を停めた。
友人がもうじき追いついてくるはずやから待つのにちょうどええ。
折角やからちょっと喋ってみよう。旅に出たときにあんまり他人に特に外国人
に話しかけへんのがあかんのやと思う。普段でさえあんまり他人に話しかけた
りはせえへんのやけど時には勇気をだしてやってみよう。
と言うても、定番の、「どっから来たん?」って聞いただけや。
オランダから来はったみたい。
「それで何処へ行くの?」と聞いたら、
彼の喋りがもう停まらへん。
このあと広島から九州まで行って長崎やら大分を回って、又、四国に戻って、
徳島の阿波踊りを見に行くのだそうだ。要約したら2行ほどやけど、それは、
わしが細かい事を忘れてしもうたせいなのだ。英語やから分かったつもりでも
説明せえ言うたらできへんことも多い。しかもすぐに忘れる。
けど、ベラベラと堰を切ったかのように喋るわ喋るわ。思んみるに、よっぽど
英語を喋るのに飢えてはったんとちゃうやろか?
わしはと言えば、「なるほど」とか、「それはええですねえ」とか、「次はど
うしはるんですか?」的なことをたまに相づちのように呟いただけだった。
その相づちすらなかなか挟むチャンスがない。
でも彼は思いきり会話を楽しんではるみたい。そんなもんかなあ。
一人旅やもんなあ。
「あっ、友達が来たんで・・・」、友人の自転車が見えたんを幸いと切り上げ
さしてもらう。でも何となく気分はよかった。殆どこっちは何もしゃべってな
いけどえらい会話したような気分だ。
それにしてもこの橋は意外と美しい。
大きいし、姿が良い。
もう少し行くと、鳴き龍の看板がある。
お寺のお堂の中なんかによくあるやつだ。
手をポンと打つと大きく反響して帰って来るというやつだ。
ほうこの鉄塔がうまいこと共振するんやなあ。
「ぱあーーん」と鳴らしてみた。大きく響く。
しかしぐずぐずしてる場合やない。先を急ごう。
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ありがとうございました。