つぎは黄果樹大瀑布だ
洞窟の中ですっかり汗をかいたが、外はひんやりしていて小雨がふったりやんだりしている。
そのまま川を下っていくと、
「銀布の滝です」と言う。
川一杯の巨石の上を滑り落ちるように滝になっているので、まるで巨大な銀色の布を
広げたように見えるのだそうだ。
「普通はそう見える」
しかし、今はちょろちょろ流れているだけで、頭の中で布を作るしかない。
そのまま川を下って、ぐるっと右に周り込むと、ケーブルカー乗り場が見えた。
これで一気に谷を登って、黄果樹大瀑布まで行くはずなのだ。
「あれ動いてへんで」、「人おらへんから停止してんのとちゃうか」
「大丈夫かいな?」かなり心配になってきた。今更歩いて登るのは大変だ。
係員も誰もいない。ガイドが焦って、事務所らしき建物に上って行く。事務員が降りてきた。
スイッチを入れた。これで大丈夫だ。
渓谷を眺めながら一気に谷の最上部まで上ってしまう。
ここから黄果樹大瀑布に向かうのだ。入り口は何故か盆栽公園になっている。
中国の人は盆栽が好きだ。たいていの大きな庭園とか公園には盆栽や盆石のコレクションが
展示されている。あんまり興味はないのですばやく通り過ぎていると、徐霞客という人の碑
があった。ここの発見者だそうだ。殆ど中国全土を旅した、地理学者だそうだ。
「徐霞客遊記」というのがあるそうだから機会があれば読んでみよう。
公園を下って行くと、崖を水平に切り取ったような、長い遊歩道がある。このまま瀧まで
行くのだろう。
「瀧の音が聞こえてきた」
「アジア一やそうやで」
「でも水がないからなあ」
「期待はできへんで」
遠くに瀧が見えて来た。確かに写真で見るよりは水量が少なそうだ。
しかし、姿は良い。
「綺麗な瀧やなあ」
ところどころに絶景ポイントがある。さすがにこのコースが人が多い。
これを見るためにだけ来る人も多いというくらいだ。