解放軍の給水隊
ここに来る時に給水車を何台か見かけた。渇水が深刻になってきたというのは連日の
報道で言われている事だ。救援活動、募金活動、様々な動きが新聞やテレビで伝えられ
ている。といっても観光で回っている限りは現実感がない。時々トイレで手を洗おうと
思ったら水がでなかったり、シャワーの出が少々悪いのかなと思う程度だ。それに天気
が曇りの日が多いし、時には小雨がふったりしている。だから身の周りがカラカラとか
水がないからどうしようもないといった現実感に出会わないのだ。しかし、暮らしてい
人にとっては深刻な事態になっているのだろう。
だから軍が出動して給水をしているのだと思った。
湖を離れて山をじわじわと上りきったあたりで、背中にポリタンを担いだ一段と出会った。
20リッターの大きなポリタンだ。要するにそのまんま20kgの重さがあるのだ。
10数人で行進している。給水車では間に合わないところに担いで運ぶのだ。
屈強な人達だから足取りが軽い。
「やっと来た」、「頼りになるなあ」って子供たちが喜ぶだろう。
山を降り切ると普通の暮らしだ。街の中に入っていく。車が多い。
多い。
動かない。
とうとう止まってしまった。
「またかいな」
前に、四川省、蜀の桟道を見に行った時に経験したことだ。
何かの具合で車が止まると、反対車線であってもどんどんはみ出していって、自分だけ
先に行こうとするのだ。向こうから車がきたら避ける場所がないから、他の人もにっちも
さっちもいかなくなるのは簡単にわかるはずなのにそれでも行くのだ。
それで行き場所がなくなって、渋滞してしまう。
それでも、じりじりと車を動かして、やっと隙間ができて、少し動けるようになると
又その隙間をめがけて、自分だけ先ん行こうとするのだ。
そのあげくデッドロックになってしまって、皆が動けなくなる。
「何でこんな簡単な事がわからへんのやろ?」
実に不思議だ。
トラックも追い越す。バスも割り込む。例外はない。
割り込んで来ても、ブーイングの警笛をならすわけでもないし、入れさせないよう
邪険に邪魔するわけでもない。
そして自然に渋滞する。
「わけわからん」と思うしかない。