万峰湖へ
さて次は万峰湖というところに行く。万峰林の見た後だから、名前からして直ぐ側にあるの
だろうと思っていた。そういう気持ちで車に乗っていたら、どんどん離れていく。もうすっかり
違うところに来てしまった。やっぱり狗屋の看板が目立つが、絶対に食べるつもりはない。
そうこうするうちに山を登り始めた。峠路をどんどん登って行く。
「車酔いは大丈夫か?」と聞いてくる。まだまだ登るのだ。
登りきったら今度は下り始めた。遠くの景色が美しい。
山また山が連なっている。峰又峰が出たり入ったりしている。
「もしかしたら万峰林の反対側にでたんかなあ?」
山のありようは殆ど一緒だから同じところを別の場所から見ているような気がしてならない。
下を覗くと遥かしたに家や田畑が見える。長閑ではあるが遥か下だ。
空はやっぱり曇ったままで、山に霞がかかったようで帰って美しい。
まだまだ下る。
結局は2時間程走ったろうか。下の方が開けてきた。湖のような処が見える。
「やっと着いたか」
さっき「車酔いは?」と聞かれた時に、「なんともないよ」と答えたものの、さすがに、
ちょっとだけおかしくなりかけてた。
信州松本から白骨温泉を通って新穂高に行く時、随分長い山道があって、そこを走った時は
運転しながらも車酔いした事があるが、多分それよりは長かったような気がした。
ほっとして降りたところは駐車場で目の前が船着き場になっている。
そういえば、日程表には、万峰湖周遊と書いてあったから舟にのるんだろう。
何組か車が着いて、人がぱらぱらと動いている。
「皆で舟にのるんだろう」と案内された舟に向かった。
かなり大きな舟だ。1階は厨房とか乗組員のキャビンとかトイレとかになっていて、客室は
2階だ。大きな部屋が2つと、マージャン部屋みたいな小さな部屋が一つある。
さっそく、甲板デッキ前の見晴らしのよい部屋に陣取った。
ここに他の客も集まってくるんだろうと端の方に座っていたが、誰も来ない。
どうやらもう一つの部屋に入ったらしい。この舟の客はこの2組だけみたいだ。
もう一組は中国人グループだから日本人を避けたのだろう。見晴らしの悪い部屋でがまん
してるみたいだ。さっそくマージャンを始めている。
「こんな遊覧船で、これから景色を見ると言うのに、麻雀か?」
実に不思議だ。