宝帯橋
気になっていたのは老街の入り口の所に店を出していた胡桃屋さんだ。
「胡桃ってこんなに種類があるのか?」と驚くほど、いろいろな胡桃が袋に詰めて並べてある。
「どれもおいしそう」生で獲って来たやつを家で軽く煎って持ってきたのだろう。
焼き加減も不揃いだ。まあそこがいい。
「これを20元分下さい」と指をさした。おっちゃんが袋に入れて重さを測っている間に、
「ちょっと味見していいですか?」と一つ齧って見た。と言っても胡桃だから、ちょっと
めんどくさい。がりっと齧って固い殻をむしりとらないといけない。
ちょっとえぐみが強そうだ。「こっちに変えてくれる?」と少し小振りのに変更した。
それも食べてみると、こちいはえぐみがなくておいしい。
ケーキを食べている時のような味と香りがする。
それを持って車に乗り込んだ。
次は私のリクエストした。「宝帯橋」に行くのだ。有名なところではないらしいし、良く行く
ところでもないらしい。案内してくれている老師の友人の妹さんも先生も大体の方角は
分かるのだろうが、どこをどう通って行くのか分からないようだ。電話して一生懸命聞いて
くれている。やっとわかった。車は一旦蘇州市に向かい、蘇州市の西南の方に向かっているようだ。
だんだん郊外の住宅街になってくる。川が太湖に流れこむ河口にちかいのだろうか。
海辺にやってきたという雰囲気がしてきた。
住宅街をぐるっと回り込んで堤防を走るとそのつきあたりに「宝帯橋」と書いた建物があった。
「おっ、閉まってる?」春節休みかと焦ったが、よこの扉が微妙に閉まりきっていない。
老師は強引にそこを明けて入っていく。中にも人がいるから大丈夫なんだろう。
ちょっと小振りの橋があった。
私は、前に「雲南、元陽、建水の旅」で紹介した「双龍橋」とか北京の「盧溝橋」のような
橋を想像していたが、形は似てはいるがかなり違うものだった。
「これは唐の時代からあるものだよ」と老師は教えてくれるが、
かなり修復したものらしい。当時の雰囲気を残しているのだろう。
土手の橋の門の所から川口の中の方へ伸びている。橋といっても今はもう渡っていく
向こう側はないのだ。行った先に仏教か道教かよくわからない寺がある。僧もいるようだ。
橋の下を時々、荷物を積んだ川船が通っていく。
おじさんとおばさんと子供、家族で荷物を運んでいるようだ。
川の中は中洲になっていて、蘆が生えている。
ところどころに漁をする為にしかけているのか、養殖用なのか、忘れられたままなのか、
定かには分からないが、それでも良い感じに網が見える。
「これも画になるなあ」
それにしても寒くなってきた。