まあ多少の不安はあるもののとりあえず船に乗り込むことにした。
外から見たら平べったいちっちゃな船やけど、中に入ると意外に広い。
大きさからの感じでは近江八幡の水郷の舟みたいに中でべちゃっと座るんかな
って思てたら椅子が並べてある。中で立つ訳にはいかんけど座って頭がつかえ
ることはない。ベトナムのフエの川遊びみたいな感じだ。椅子は固定してない
自由でええけどずるっとすべったり、おっとっととこけそうになったりはせえ
へんのやろか。これやったら外の景色みながらさっきの苺を食べたりできるか
らええかもしれん。舟の中に調理設備は無いんで食事を強要されることはなさ
そうやし、土産もんも積んでへんみたいやからそれを売りつけられることもな
さそうや。してみればまあ居り易い船に乗ったということか。
外を見れば、何人か若い人が来て魚を獲ってるような雰囲気がする。
「何してんの?」と聞くと、「魚獲ってる」と船頭のおっちゃんが言う。
それは見たらわかる。「魚獲ってどうすんの?」
このへんの料理屋とかに持って行って売るのだそうだ。大抵のレストランで食
うやつはこのへんの川で上がる川蝦やら魚やらだそうだ。
「桂林のスッポンは美味いんやで」とおっちゃんが言う。
「今晩食ってみるわ」、楽しみやなあ。
船が出た。
いきなり、「まるで水墨画のような景色」が目の前に。
やっぱりすごいわ。
手前は濃くて、重畳と重なる山々が向こうに行くほどだんだん薄くなっていく。
水墨画の作法どおりだ。
そうやって遠近感を表現するんやと言うのがよく理解できる。現実もその通り
に遠くに行くほど薄くなって、距離に応じたグラディエーションを創りだして
いる。
それが又、どれだけあるんやと思うほど、いくらでも向こうにある。
さすがに規模が違うわ。
そう言えば、貴州に行った時もこんな景色やった。
ベトナム、ハノイにあるハロン湾もこんな景色やった。
カルストといわれる地質がこんな景色を創るんやろか。すごいもんや。
船頭は人のよさそうなおっちゃんだ。
船は、エンジンはついているようやけど、下りはエンジンが必要ない。竿で押
しながら河の流れにまかせてゆっくり下るのだ。
長江下りみたいな気分やね。
船頭さんはサービスなのかあの峰は○○ちゅうんやで、そやから○○見たいに
見えるやろとか、あの崖は△△ちゅうんやとか、結構親切にと言うかうるさく
もあるほど説明してくれる。
ずっと前に長江下りに行った時も同じ友だち達とだった。その時もガイドのお
ねえちゃんがずっと切れ目無く説明してくれた。気い良う全部聞いてたら、そ
っちが忙しいて景色に浸る暇がなくなった。今回もそうなったらかなわん。
こんどはその役を友達にしてもらおうとおっちゃんの言葉に知らん顔をするこ
とにした。
友よ。ごめんな。
山だけやなくて河の上の暮らしの風景も味があって面白い。
あの崖のしたに舟が止まってる。
「あの篭のある舟は何なん?」
「鵜飼の舟だよ」
この河には鵜飼が居るのだそうだ。今は何してるんやろ。鵜に餌食べさしてん
かなあ?
流れは緩やかなようで早い。
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