防府を出る頃から腹が減ってたんでそろそろ飯を食いたい。防府からの道中で
ちらちらと見ながら来たがあまり食べたいと思うようなところがなかった。さ
っきこの寺に来る途中で雲谷亭とか言う蕎麦屋を見ていた。腹が減ると視力が
よくなるのだ。この寺の表にも観光客用の食堂みたいなのはあるがさすがにそ
こには行く気がしない。雪舟ゆかりの雲谷と名前のついた蕎麦屋を見たのも何
かの縁やし、麺を食いたい気持ちもある。あそこに行ってみよう。
有名店らしく結構お客がいるし、わしらが食っている間にも帰る人もいれば、
入ってくる人もいて入れ替わりが多い。
「雲谷亭セット」みたいなのがお得のようだ。みなさんそれを頼んでる。
茹で蕎麦と天麩羅とちらし寿司がセットになっているようだ。
寒いから温かい蕎麦がいい。
この店は萩焼きの作陶家の仕事場でもあるようだ。隣の建物がそういう感じ。
さて出来るまでかなり待たないといけない。
天麩羅は注文が入ってから揚げているからそれでいい。
蕎麦も時間を計って茹でているようだ。時々タイマーの音が聞こえる。
奥の方で先に食べたお客さんから、「蕎麦のお代わり」という注文だ。そうか
その手があったか、おいしかったらわしらもそうしよう。
そうこうするうちにやっとわしらの蕎麦がやってきた。
つけ汁に生卵を割ってすき焼きのように食べるようだ。大阪、堺の「ちく満」
のせいろ蕎麦みたいな食い方だ。にゅるっと柔らかい麺は口当たりも良い。
蕎麦のしゃきっとした腰が好きな人はちょっと物足りんかもしれんけど、関西
風でええやないかと思う。蕎麦の香りもほのかにするし中々おいしい。
天麩羅は揚げたてでさくさくっとしておいしい。
ちらし寿司は簡素なもんやけどこれはこれでいい。後のお客さんは寿司が切れ
たんでわかめご飯になっていた。
テーブルの上に自家製のような梅干が入った瓶がおいてあって、「これ食べて
いいですか？」と聞くといいというので頂いた。これはしっかり酸っぱくて梅
肉の味もしっかりしておいしかった。
腹が減ってたんで蕎麦がすぐになくなった。
「お代わり下さい」
iいろいろあって、かなり待ってお代わり到着。
これで残りのつけ汁がなくなってしまった。
最後に蕎麦湯が来たときには、もうつけ汁と混ぜて残りの味を楽しむのは出来
へんかった。まあしゃあないか。
通りすがりにしてはおいしいお昼を頂いた。
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