いい映画だった。
映画が始まってそう長く経ってへんのにもうまわりからぐしゅん、ぐしゅんと
泣いているらしい音が聞こえてくる。もしかしたら古臭い恋愛映画風なんちゃ
うやろかそんなんやったらわしは泣かへんぞと思ってたらいつのまにか鼻水ま
でたれて泣いとったのは恥ずかしい次第だ。
韓国のどっか裏町の裏通り、坂の多い街角だ。まだ暗い夜明け前、牛乳配達を
してるじいさんがバイクで坂を登ってくる。ばたやのごみを運ぶリヤカーを引
いてばあさんが坂を下りてくる。
毎日の出会いだ。
ある日、ばあさんが凍てついた道を前にしてたちすくんでいた。
じいさんは見かねて助けてやる。
それがマンソクとイップンの出会いだ。
この坂道、なかなか味があるのだ。古ぼけた路地裏とうねうねと曲がって伸び
ていく坂道、ええなあ。絵になるなあ。
映画を止めてもらってゆっくり写生さしてほしいくらいだ。
もう一組の男と女がいる。
男と女は夫婦だ。女は重度の認知症で介護がないと生きていけない。夫のグン
ボンは駐車場の番人をしながら妻を看病している。
さてこの二組の男と女、どうなって行くんやろか。
グンボンの妻の天真爛漫さ、迫真の演技やね。
こんな風に生きて、死ねたら最高なんやろか。
認知症の家族を抱えて奮闘している人はわしらのまわりにも沢山いる。
いっぱいいろんな問題がある。
しっかり考えんとあかんのだ。
イップンは戸籍も名前もなかった。何の幸せも無い人生だった。
マンソクと出会いは幸せにつながるのか。
どうやって老いを迎えて、どうやって死を迎えるのが幸せなんやろう。
いろいろ考えさせてくれる。
わしが望んでいるのと一緒かどうかはわからんけど人それぞれの願いがあって
それでいいのだ。
イップンの故郷は山の中の峠の途中にある村里だ。
ここもまた絵になるところだ。
こんなとこでころっといくのもええかもしれん。
この映画、街の風景も含めて、景色の使い方が好きやなあ。
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ありがとうございました。