上海経由南京の旅ー14

咸亭酒店の紹興酒
上海に来た初日の話です。少し時間があるので、多論路にある文化人街に
行く事にしました。
ここは近くに魯迅記念館とか、内山書店跡とかあって、昔の上海の疎開地
の匂いを保存しているようなところです。
それで、魯迅ゆかりということで、出身の紹興にある有名な咸亭酒店も店
を出しています。紹興でもそうでしたが、ここもホテルをやっているようです。
紹興では魯迅の「孔乙己」のモデルになった居酒屋という事でレストランを
やっていて、そこでゆかりの紹興酒やウイキョウ豆などを売っています。
上海でもレストランがあったのですが、私の知っている店は無くなってしまい
ました。ここはホテルと売店だけです。
それでも、「紹興酒下さい」というと、甕から汲みだして入れてくれます。
ここでは、「何年もの」という区別はなくて、「高いの」と「安いの」の
2種類だけです。「老彫」と「老彫王」という事で「王」がついているから
高いのか?とそれだけのことです。
しかし実は結構味が違います。
当然、「高い方」を頼みますと、無愛想に「ちょっと待っとけ」といいながら
奥に行きます。手で甕から汲みだすしぐさをしています。
「そんな奥の部屋で汲んだら、高いのか安いのかどっちをいれてるか
わからへんやんか」と思いましたが、そういう世界ではありません。
それで買ったのが2.5kg入りのプラスチック瓶です。
これが結構重いです。スーツケースもぱんぱんになります。

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しかしまあ、日本に帰ったらおいしいのが飲めるから楽しみです。
友人たちと分け分けして飲むことにしよう。

「・・・孔乙己は立ち飲みの仲間で、しかも裾長の着物をきたただ一人の
客であった。彼は身の丈が大変高く、青白い顔色をして、皺の間にはたいてい
何か傷跡があった。モジャモジャの胡麻塩の頬ひげをしていた。・・・・・」
魯迅、「孔乙己」より。

居酒屋でぼんやりと飲んでいたら、こんなおじさんすーっと入ってきて
「一杯温めてくれ」って言ったらいいですね。