時々京都遊、白幽子寓居跡

駐車場を抜けきると裏山の森の中に入って行く。細い道が奥に続いている。
少し歩くと建物が見えて来た。鳥居もある。神社のようだ。
大山祇神社と書いてある。そういえば、ネットの情報でもこの神社の横を抜けて行くような事を
書いてあった。道は間違えて無かったようだ。

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神社にお参りをして、その横を抜けていく。細い道が山の奥の方に続いている。
道の右側に川が流れている。小さなせせらぎだ。川に沿って更に登る。
「えらい遠いなあ」
神社を出たらすぐにあると思っていたが、そんな気配はない。
段々と道も川もわからんようになってきた。

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「靴が濡れる」
傘もさしてるし、足元も歩きにくい。
更に登る。ちょっと不安になってきた。
「あった」
やっと白幽子のありかを示す石碑があったのだ。

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左方向に分かれて行くのだ。安心はしたがここからは更に歩き難い。
道と川が更に混然としてきた。しかも急な登り坂だ。石切り場跡のようで大きな石がごろごろ
している。

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突然、右手上のほうでガサガサという音がして、グェーという鳴き声が聞こえた。
上を見上げると、鹿がこちらを向いている。
あわててカメラを取り出そうとしていたら、さっと向こうへ行ってしまった。

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「こんなとこに鹿がおるんか」
まるで新古今和歌集の世界だ。
「・・・・・・奥山に鳴く鹿の声聞くときぞ、秋は来にけり・・・・・」
「昔から、京都の山にほんまに鹿がおったんや」
何となく感動した。
しかし、それはええけど、山の中でたった一人、うすぐらい森を登っている。
かなり不安になってきた。鹿ならええけど、猪でもでて襲ってきたらどうしよう。
なんとなくその辺の藪から何か出てきそうだ。
「もうやめて帰ろうか」
弱気がよぎる。
しかし折角きたんやからもうちょっと行こう。
それでやっと着いた。
もう洞窟も何もなくて。大きな石がどかんとあるだけだ。
その側に、案内板と富岡鉄斎の顕彰碑がある。

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「なるほど、こんなとこで仙人暮らしをしていたのか」
近いようだが入ってしまえば結構山が深い。
緑が濃くていいところだ。それなりの仙境と言えるだろう。
ここから直ぐに山頂に行けそうだが、雨が強くなってきたので今日はこれでやめとこう。
東山三十六峰の一つやそうやからながめはええかもしれん。
晴れた日に、又来て、こんどは比叡山までトレイルしてみよう。

私も仙人になれるかもしれん。
なんば歩きで修業しながら帰ろう。

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ありがとうございました。