北京の春ー19.羽田空港、深夜2時立ち尽くす男

さて、ねぐらが決まって安心したから、ちょっと回りの様子を探検しておこう。
まず明日の朝のバスだ。到着ロビーは2階で、1階に降りたら空港ターミナル間の循環バスが
ある。1階の0番乗り場というのを着いた時インフォメーションで聞いておいたのだ。
朝1番は5時だから、1番で行こう。
今は、イミグレに向かって左側にいる。トイレは両側の端にある。
売店では簡単な飲み物と食べ物を売っている。右の端の方にはレストランもあるようだ。
トイレの向かい側にシャワールームがある。有料だが、風呂に入ってさっぱりしたい人は
それもokだ。
「うまいことできてんなあ」
トイレの奥には、コインロッカーがあった。300円と500円だ。
「ここに入れといたら安心やなあ」、しかし、小さいのに入らへん。しかも0時で料金が
2日分になる。わずかな時間やからこれはやめとこう。
大体、探検は終わったから、適当に座りこんでしまおう。
坐る人の数より椅子の方が圧倒的に多いから、どこでも余裕で横になれる。
さて、横になって寝てしまおう。
後でお腹がすいたらビールとなんか食べよう。
23時が近づいた。
「ありゃ、売店が閉った」まあええか。案内所も閉まった。
24時近く、
いろいろ閉まり始めて、天井のあかりも暗くなったようだ。
あたりが「夜寝るモード」に近くなってきた。
職員の一部が帰り始めた。
「だんだん寝易くなってきたぞ」
保安員が2、3人常に巡回している。これも安心だ。
ぐっすり寝ても問題なさそうだ。

「???? あれは何や」
若い男が現れた。通路の端にじっと立っている。
30分程も同じところに同じ向きで同じ姿勢で立ち尽くしている。
それから、90度向きを変えて、又立ちつくしてる。
「妖しいなあ」何か気持ち悪くなってきた。
30分ほどすると又向きを変えて立ち尽くしている。
保安員が横にきて何か話かけても無視だ。立っているだけでは保安員もどうすることも
できないのだろう。
若くて、筋肉質のいい体格だ。姿勢もいい。両腕をさげて、足をふんばって、力強く
立っていてかっこいいともいえるが気持ち悪い。

haneda110524

急に向かってきたらどうしよう。
対角線じょうに保安員がじっと立って見張ってくれている。
「いったい彼に何があるんやろ」
何か本一冊分ほどの物語りがありそうだ。夜あかしの時間つぶしにいろいろ考えるのも
おもしろい。
もう2時すぎだ、いつの間にか男がいなくなった。
いろいろあって結局寝られへんが面白い一夜だ。

さて、もう寝よう。
そうなると、あの音が耳につく。
「下りのエスカレーターです。足元に気をつけてください」という自動アナウンスだ。
10秒おきくらいに流れる。さあ、寝ようとなると気になってしようがない。

そこで、羽田空港で夜を過ごす必携道具。
**アイマスクと耳栓あるいはiPad。

パソコンでもやるか。
電池が切れた。
ネットできる場所があるが、外国人旅行者の若者達が占領している。
もう、4時すぎた。5時にはバスが来る。
「北京の春」の話はこれでおしまいです。

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ありがとうございました。