龍門石窟を見ながら川沿いを歩いていると、向こう岸は小高い丘が続いています。其上には何やらゆかしげな建物がいくつか見えています。石窟を見終わるあたりに橋があって、それを渡って、向こう岸を見物しながら帰ると元来た入り口に戻れるという寸法です。
最初は香山寺というところです。やはりどこでもでてくる則天武后が建てたもので、乾隆帝が来たとか蒋介石が避暑につかったとかいろいろ書かれてます。
けっこうしんどい坂を登ります。
上では、詩聖達の詩碑があったり、音楽の演奏があったりと、向こう岸の賑やかさに比べたら、格段に人も少なくてゆったりとすごせます。
隣が白園です。唐の有名な詩人、白居易が晩年を過ごしたところです。
内部は広大ですが、質素なところです。
白居易の詩は「長恨歌」が有名ですが、優美な詩を作る人だと思っていました。が、ここにある幾つかの詩碑の中で、私としては始めての詩を発見しました。
「売炭翁」というものです。
炭売屋のじいさんの悲惨な暮らしを歌ったものです。
これは、新鮮な驚きで、なかなか気に入りました。
けっこう暗いですけどね。
炭売翁
伐薪焼炭南山中 満面塵灰煙火色
両鬢蒼蒼十指黒 炭売得銭何所営
身上衣裳口中食 可憐身上衣正単
心憂炭賤願天寒 夜来城外一尺雪
暁駕炭車輾氷轍 牛困人飢日已高
市南門外泥中歇 翩翩両騎来是誰
黄衣使者白衫児 手把文書口称勅
廻車叱牛牽向北 一車炭重千餘斤
宮使駆将惜不得 半匹紅綃一丈綾
繋向牛頭充炭直
この字とは違うんですが、拓本を売ってたので買いました。
「あの碑とちゃうやん」といったのですが、
「おんなじ詩やから問題ない」と相手にしてくれませんでした。