南朝、夢の跡、賀名生(あのう)の梅林

天気予報通り朝から雨が降っている。しかし、たいしたことはない。
「そのうちやむやろ」
もう3月も後半に入っている。さすがの梅林も花が落ちてるかもしれない。そう思って、五条市役所
の観光課に電話してみた。
その時点で、「今が3分か5分咲きくらいですね」、「ほんなら来週行ったらまだ早すぎますか?」
「先出したら早いですからね。一気に咲きますよ」
大阪から五条は奈良から行く方法と和歌山県の橋本市から行く方法が考えられる。
「どっちにしよう」かと思ったが、和歌山はいつも実家に帰るコースなので、今回は奈良まわりに
してみよう。高速代はかかるが、小雨模様の大和三山を見ながら走るのもいいものだろう。
三原インターから南阪奈道路に入る。小雨は降っているが、この道は緩い上り坂なので運転しやすい。
眼の前に広がる羽曳野平野の上を気持ちよく走って行く。一面のブドウ畑のビニールハウスをみながら
丘を越えてしまうと目の前が大和三山だ。中央に畝傍、右に耳成、左に天香具山が並んでいる。
決して大きい山ではないが、神代の時代からあるというゆかしい風景だ。
この視点から見る大和平野を見ると昔の人になったようで気持ちがなごんでくる。
と思うまもなく、直ぐに葛城のインターをおりてしまって、ここからは県道30号線を五条に向かって
南に下るだけだ。五条、五条、と道標を辿っていくと途中から24号線に入っていた。しばらく
走ると、168号線の分岐に来る。ここから十津川を目指す。
道は急に山道になる。さすが、このまま熊野まで突っ走る山岳道路だ。
「トイレ休憩できます」と書いた茶店らしき看板を見ながら15分ほど走って、トンネルを出た
とたん右手の山裾がそれらしい雰囲気を見せている。右に曲がって山をのぼっていく細い道が見える。
「ここらしいな」賀名生の梅林という看板も見える。道をみるとかなり細い。
「上までいって戻られへんかったら大変やな、この辺に車止めとこ」と思うと、眼の前に都合よく
駐車場がある。
「道の向こうに皇居跡って書いたあるで、先に寄って行こか」
「これが皇居かいな」南朝とは言え、皇居と言うにはあまりにみすぼらしい。農家の旧家といえば
風情がある。しかも実際に家主が住んでおられるようだ。事前申し込みしないと見れないと書いて
ある。「昔は公開してたんですが」と歴史資料館で言われた。天誅組決起の地でもあるらしい。
しかし、ゆっくりしてたらいつまでたっても梅に辿り着かない。

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さほど急ではない坂道を登って行くと、写真家らしいご夫婦らしい、二人連れが大きなカメラで
撮影しながら移動していた。
山の斜面は左上の丘から右下の谷方向に伸びている。その斜面みながら正面方向にずっとずっと
進んでも進んでも梅林は途切れることがない。それでも足りなくて、丘の向こうをまわっても
まだまだずっと梅の林が続くのだ。
一眼千本とは桜の時に言う言葉かもしれないが、ここの梅もそのとおりだ。
雨はかなり小降りになってきた。山の奥の方で霧がたっているのが、梅の郷に良く似合う。
雨だからあまり匂いがしないが、晴れていたら香りもすばらしいことだろう。
桜の豪華さとまた一味違う、しめやかな華麗さがここにある。

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