梅地下で地下鉄御堂筋線の後ろからおりて外に出ると、地下鉄谷町線に行く一本手前の道を
右に曲がると、阪急8番街に行く手前、書店の手前、道の左側に小さな入り口がある。
小さな店だ。カウンターに腰掛けた人の後ろを、「ごめんやっしゃ」そろそろと空いた席
までたどりついて、コートを壁にかけて、荷物は膝にのせて、コンパクトに身を縮めて
坐るのだ。
「灰皿もらえませんか」コーヒのおいしい店で禁煙なんてアホな事は言わんのだ。
すぐに水がでて、「サービスのやつもらえませんか」
スペシャルのコーヒの中からその日のサービスメニューがある。
特に何をというこだわりはないからそれでいいのだ。
普段、時間つぶしであったり、喉が渇いているだけだったり、お金の節約だったりする時は
2百何十円かの簡単コーヒの見せに行く。それはそれで簡単明瞭面倒がなくていいのだ。
しかし、「今日はおいしいコーヒが飲みたいなあ」と思ったり、通りすがりにコーヒの
おいしい香りを嗅いでしまったりしたときは、この店に来ることにしているのだ。
この店は常連さんが多い。店の女の子やマスターと
「○○に旅行に行ったよ」とか「今日は△△してきた」とかいろいろだ。関係ないふりして
しっかり聞いている。聞きたいわけではないが、何かに夢中になってるわけではないから
意味を持って耳に入ってしまうのだからしょうがない。
コーヒがおいしくてこういう小さい店は居座る時間が問題だ。
ちゃっちゃと喫んでちゃっちゃと帰るのでは来た意味がない。
嫌がられるほど長いしては品がない。
お喋りがじょうずな人はそれがうまい。適度に話題をつくって適度の間を持たせている。
喋りが下手だと道具がいる。煙草が一番かな?コーヒを飲むあいまに煙草を吸って
時間を調節する。本や新聞があるとバリエーションができる。
パソコンで仕事を始めるとみっともない。
自然に程良く過ごして、きれいに、「ごちそうさん」と帰らないといけない。
しかし、こんな事を意識してやるようではなおいかんのだ。普通にできないといかん。
私も年齢だけは、百選練磨となってきた。ちょっとは間合いがわかるようになった
つもりだ。
それが何の役に立つのかと言われると、何の役にも立たない。
コーヒもええけど、一人でバーに行ってかっこええ飲み方できるようにならんとあかんね。
そんな話もいつかしてみよう。
できるようになったらね。
毎週金曜は酒や茶に関する話です。