タージマハールの想い出ー5.ドライディって?

かなり腹が減って来た。効率よく動く為に、タージマハールの見学を優先したのだ。
「帰り道でどっかに寄って食べよう」日本的な感覚でレストランなんかどこでもあるわと思って
いたのだ。しかし、なかなか見つからない。アグラの市内できちんとさがせばよかったのだが、
予想以上に時間がかかったので帰りを急いだのだ。
「あのホテルみたいなとこにありそうやで」
ホテルによくあるビュッフェスタイルのレストランだ。
「全然問題ないで」
適当に辛そうなカレーを盛り合わせて、サラダも入れたらこんなになった。
普通のランチセット程度のボリュームに見えるがかなりカロリーが高そうだ。
それでも辛いのはついついお代わりをしてしまう。
「やっぱりインドではカレーがいちばんやで」と顰蹙をあびながらもカレーばかりを食べている。

「暑かったし、ビールでも飲みたいなあ」当然の成り行きだ。
「今日はドライデーやって言うてまっせ」
「げー、ドライデーなんか」
ドライデーというのはインドで国民の祝日、その全てかどうかは分からないが、その日は酒を
飲んではいけないのだ。お釈迦様の日、大統領の誕生日?、独立記念日?、いろいろありそうだ。
そして、まんが悪い事に今日がその日だというのだ。
そうなると、レストランでも酒は一切出してもらえない。
「しゃあないなあ、がまんしょう」文句を言っても始まらない。
さて、来た道をひたすら帰るのだ。帰りも混んでいる。というか来た時より混んでいるみたいだ。

延々と渋滞している。空は晴れているが、酒も飲めないし、気持ちは思い。
時計を見るとどんどん時間がたっていっている。
「大丈夫かな」今日の飛行機に乗らないといけない。

何だかんだで4時間半以上かかった。デリーについたらもう日が暮れかけている。
と、又、車がぴたりと停まった。交通規制が始まったようだ。
「政府高官のお通りらしいで」

「どこでも同じやね」こんな時は中国でもバシッと止められてしまう。
「お上が優先何やなあ」
「これって大統領官邸なんかなあ?」よくわからない。あのアンバサダーがガーガーと走っている。

 

にわかパレード見物も終わって、ホテルで荷物をまとめて、空港に行った。
晩飯何食ったんやろ?もちろんカレーだ。写真とるのを忘れたのだ。
「ラッキー、チケットアップグレードやで」
「ラウンジで酒飲めるなあ」やっと酒にありつけると勇んでラウンジに行った。
「ここもあかんらしで」考えて見ると空港もインドやからあかんといわれてもしょうがない。
「イミグレ通ったら外国ちゃうんか?」と思ってもだめなものがだめなのだ。
時間が来て飛行機に乗った。
「ビジネスクラスやったら、ウエルカムドリンクあるやん」
さっそく酒を頼むと、やっぱりだめだ。空に行くまでだめだというのだ。
「**▼・・・・」でるのは溜息ばかり。
上空に行ってやっと酒が飲めたのであった。
まあ、一日くらい飲まないでもどうってことはないんやけど、「だめっ」って言われると
欲しくなるもんねえ。
さて、タージマハールの想い出はこれでおしまい。
この時からもう何年も経ってしまった。インドは今や経済成長の真っ最中と聞く。もう街も人も
驚くほど変ってしまったんやろなあと思う。
もしかしたら、まだ殆ど変って無い?もしそうならそれこそインドかもしれん。

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