上古沢、厳島神社の傘鉾祭り。
普段は静かな、殆ど人に会うことがない集落で、突然、人が賑わい、ピーヒャラと笛の音が心を踊らせてくれる日があるらしい。
毎年8月16日、山の上の紀伊細川の八坂神社の傘鉾祭りが終わったあと、1時間ほど経ったら、上古沢の集会所のあたりがさわがしくなる。
だいぶ前にこの祭りを見に行ったときの様子を再現してみる。
上と下ではなにか連絡があって、神様の申し送りがあったりするわけではなさそうやけど、神事はちゃんと順番に執り行われる。
傘鉾が1人、2人、3人と歩き始めた。
その後を白い服を着た人たちが続く。見物客が取り囲む。
ぞろぞろと神社の方に進む。
入り口の鳥居の横に大銀杏が聳えている。
なかなかの壮観だ。
この銀杏は秋になると素晴らしい黄葉を見せてくれる。
最近はこの木、少々お疲れ気味の様相ではあるけど、前はもっとすごかったらしい。
しずしずと境内に入っていく。
見物人もゾロゾロとついていく。
傘鉾が本殿の周りを回り始めるころには笛がピーヒャラと盛り上げてくれる。
行列が本殿にお詣りする。
本殿の前の広場をぐるっと回ったらおしまいだ。
静かに盛り上がる。
また、しずしずと集会所の方に帰っていく。
これで14時半すぎ。
みなさんは解散するけど、神様は山の下の椎出の集落に向かわれるらしい。
何の連携も申し送りもないみたいやけど、ちょうど神様が到着された頃から下の集落では今度は鬼の舞の神事が始まるのだ。
不思議ですなあ。
多分、五穀豊穣やら雨乞いやら、そういう願いを込めた祭りではあるんやろけどね。
さて、この集落では、他にも不思議なお祭りがある。
10月14日だ。
「恵比寿のお渡り」という。
こんどは傘鉾ではなくて、恵比寿っさんが登場する。
これもだいぶ前に見に行ったときの様子を再現してみるのだ。
出だしはおなじ集会所。
こんどは恵比寿っさんのお面を被った方が主役なのだ。
前になったり後ろになったり、傘鉾と同じコースを厳島神社に向かって進む。
途中で小さな子どもがいたら、ちょっかい出していく。鬼と一緒やね。泣かされた子は無病息災がお約束。
境内に入ったら、とても面白い儀式が始まる。
恵比寿っさんは、タイとカゴを模したやつを背中に背負ってる。
やっぱり商売繁盛、五穀豊穣の神事やろね。
本殿に向かって、真ん中に恵比寿っさんが立っていて、周りを氏子たちが取り囲む。
恵比寿っさんの前にもう一人氏子が立っている。
取り囲んだ氏子たちが座って笛や太鼓を奏でる中で恵比寿っさんとその前の氏子が声を掛け合いながら、ピョンと飛ぶ。
また、ピョンと飛ぶ。
なんだかとてもおかしい。
小雨の中だったんで滑って転んだりもしたけど、これは演技ではなかろう。
とても愉快な気分で見てるあいだに祭りは終わった。
ほのぼのと良い祭りだ。
こんなのいつまでも続いてほしいなあ。
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上古沢、厳島神社の地図。
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