南宋官窯博物館へ行った話。
さて、杭州に居る間に杭州名物龍泉窯の窯場を見に行きたいとかねがね思っていた。
しかし、なかなかそのチャンスが来ない。前に知り合いの学校関係者が連れて行って
あげようなんて言うてたけど、ただの社交辞令やったみたいでその後なんの音沙汰もない。
そうこうするうちに、バスで30分ほどのところに「南宋官窯博物館」というところがあると
知った。
行ってみよう。
西湖のある、わしが住んでる場所から一つ山を越す? 地下道を通って、郊外の街の中にある。
銭塘江という大きな川の畔だ。
ひっそりとした建物だ。小雨の中、玄関に向かう。
入口でお金を払おうとしたら要らんという。これはありがたい。
老人無料とか、日曜祭日無料というのは嬉しいかぎりだ。
お客は少ないけど、展示物は多い。
わしは専門家ではないけど、凄いものが沢山あるように思う。
陶磁器というと、大阪の東洋陶磁美術館が有名だ。ここは、とても良い。
わしの大好きな美術館で、どこか外国に行って凄い陶磁器を見る機会があるというときには
事前に勉強のために見に行ったりすることもあった。特に李朝のコレクションと青磁の
コレクションが有名だ。
中でもとっておきが、雨過天青とか雨後青とか呼ばれる、北宋時代の青磁の逸品だ。
北宋には徽宗皇帝という稀代の芸術家がいたらしい。書画骨董のコレクターである
だけではなく自らも絵や書を嗜み、それが素晴らしい腕前やったというから国が
滅びるのも無理はないかも知れない。そこで生まれたのがこういう青磁であり、
洛陽にほど近い、汝窯という窯場で焼かれたらしい。
実は、汝窯には行ったことがある。しかし、日本の有田や伊万里のような古窯の町とは
違って見る影もない。
行ったとこが的外れやったんかもしれんけど、小さな陶器屋さんが
数軒ならんでるだけだった。もう10年以上も前のことやから今ではまた一大観光地に
なってるかもしれん。知らんけど。
それはともかく、北宋が滅んで南宋ができたわけやから、文化や技術は引き継がれて
いると思う。
そういう文化の名残を残す、南宋の官窯だとすればここにあるのもお宝ばかりと
いうことだ。
東洋陶磁美術館にあるようなやつやら、
上海美術館にあるようなやつやら、
中国の美術館は沢山行ったけど、素人のわしにはどこのやつも割と似ている。
そういうやつがいっぱいある。
あんまり見てたら疲れてくる。
外に出て、窯跡の史跡を見学しよう。
というてもこちらも建物が違うだけで巨大な屋根の下にある。
一望できるようにしてあるんでとても広い。
すべての工程が屋内で見渡せるというのは珍しいのではなかろうか。
景徳鎮の街に行ったときも、現代作品を作って売ってるとこだけではなくて
古い窯跡も見学に行ったけど、それは屋外にあった。
どちらも登り窯の跡が見られて、こういうのはどこでも同じ、というか、
中国で古代から培われてきた技術が韓国や日本に伝わったというのがよくわかる。
てなことで、陶磁器のお勉強の一日であった。
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ありがとうございました。