コロナ日和の日々、妄想の旅に出る。V国へ、H市からF市へ列車の旅−15、日本人がいたというHという街で。

日本人がいたというHという街で。

街の風景はまるで中国の古村に来たみたいだ。中国はとても広いところだ。とても歴史がある。
最近のかの国の政府の、あるいはトップの方のやり方はあんまり好きではないけど、
長い歴史とその歴史がうかがえる風景がやまほど残っているということについては
とても敬意を払ってるし、それを見にいく、感じに行くのは今でも大好きな旅の一つだ。
今でも明代やそれ以前の建物が今も残るところが多い。建物とともにその生活もある程度
残っていて昔のかの国の歴史文化を愛でるものにとってはとてもありがたい。
しかし、近年の猛烈な観光ブームで少しでも名の知れたところは凄まじく観光化が進んで
便利で清潔になった反面、歴史資料としての価値を無視した改築や元々住む人たちを
追い出した観光産業のはびこりが風景を興ざめにしてるところが多くなってしまった。
ここにも、中国の明代、あるいはそれ以前を彷彿とさせるような建物が多く残っているようだ。

独特の反りのある瓦屋根、装飾も派手で強烈だ。木造の家の梁や柱にも華麗な彫刻が
施されたものもある。
まさに中国だ。おかしい。ここはV国ではないか。あの国とは仲が悪いと思ってた。
しかし、歴史は違うようだ。いいにしろかわるいにしろかわからんけど長い長い
往還の歴史がある。昔から沢山の物資と文化があの国からこの国に流れてきている。
この国文字が漢字だった時代もあるほどで、古い街に行くとあちらこちらに漢字の
看板が見られる。
そういう街並みをゾロゾロと散歩する。
ただの観光街だ。とくにこれといったモノがあるようには思えない。日本人が一時期
たくさん住んでたということやけどそれほど日本を感じさせるものは見あたらへん。
わりと目立つのはアート屋さんだ。どうもこの国人はアート、特に絵画が好きなんと
ちゃうやろか、大きな都市でも絵画を売る店が集まったストリートをよく見かける。
洋画系が多いみたいやけど、中国画みたいなのもあるし、漆画も多い。漆はこの国
名産品なのか、工芸品も多いけど、絵は伝統的な中国のそれの流れのようで、中国画風の
内容が多いものの、現代アートみたいなのもたくさんある。
漆の工程は日本と同じなんか違うんかは知らんけど、出来たものは結構違うみたい。
伝統の技の違いではなかろうか?
そういえば、まだ現役で仕事をしてた頃、この国に来て取り引きさの方にその方の
友人でお金持ちの人がちょっと凝った風流な家を持ってはるけど見に行くかと言われて
ついて行ったことがある。
古民家風の設が素敵な、飾らないシンプルなところに却ってお金がかかってることを思わせる
木造のお家であった。全体に中国風の香りがつよい設であった。この街の観光用に開放されてる
昔の有力者の家と似たような考え方で作られている。家具は紫檀や黒檀の古色を帯びた高級品。
飾ってる花瓶や骨董も昔の景徳鎮風の陶磁器。書は無いが絵画はベトナム画であって、
どうみても内容は中国画風だ。
お茶が出る。もちろんベトナム茶ではあるが、中国茶と何ら変わりはない。ハスの花の
香りをつけたものもあるけど基本は同じだ。茶器はこの国独特の陶器もあるけど、
この家のは中国渡来の骨董品であった。
このように政治的には一線を画していても文化と贅沢の心は、あるいはお金持ちの嗜好は
あいかわらず隣の国を向いているのかもしれんと感じたことだった。
街の中に変わった橋がある。
観光名所の来遠橋というやつで別名日本橋というらしい。

日本人街があった時代に日本人が建てたと言われてるらしい。
そのわりにはまるで中国様式だ。アーチ式の石積み橋で屋根付きの木造建築になっている。
こういう様式は日本ではほとんど見ないけど中国では珍しくない。
それでも日本人の足跡が刻まれてるかと思うと懐かしい。

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ありがとうございました。