コロナ日和の日々、妄想の旅に出る。V国へ、H市からF市へ列車の旅−12、峠に向かう。

峠に向かう。

彼らが降りてしまうと、寂しくなるなあって思ってたら、おばさんが急いでわしらの
コンパートメントに入って来た。すぐに係員がやってくる。車両ごとに待機してるみたいで
すぐにわかるのだ。
見てると、その場でお金を払ってチケットを作って貰ってる。
ということは事前に買わんでも乗ってからでもOKなんや。まあ、よくある話。
おばさんは支払いが済んだらさっさと横になってしまった。
まあ当然だ。
わしは真っ暗になっても窓の外を見てる。椰子や芭蕉やその他いろいろ濃密な南方の
植物が鬱蒼としてる。生命感があるなあ。
そういえば、このあたりから西の方に有名な高原地帯がある。フランス統治時代に
高原リゾート地として開発されたところらしい。美しい高原に瀟酒なコロニアル風の
洋館がたちならんだとても良いところらしい。
どんなとこなんやろ? 行ってみたい。
林芙美子の「浮雲」にも出てくる。東京での不倫の恋に疲れ切ったゆき子がどうにも
ならない日々から逃れるように、たまたま出会ったこの国でのタイピストの募集に
応じて、はるか南の国まで来てしまったのだ。
浮雲ではこの街は、「高原の街は空に映る蜃気楼のよう」と描かれている。
山と湖。酒と果物。
濃密な時がながれる。
ここでもゆき子は恋におちる。富岡との仲はどうなるのか?
窓の外も峠道に入ったらしい。ゴツゴツとした崖の間を縫って走っていく。とても
遅い。山道は特に安全のためやろう、特にゆっくり走ってる。時速20km以下では
ないやろか? 飛び降りても楽に戻ってこれそうだ。
体を伸ばすために時々通路にでる。通路に椅子はないんでぼんやりと立って外を眺めている。
向こうの方のコンパートメントで中国人らしき子供たちが騒いでいたけど今はもう
静かだ。
峠を登り始めたのか? 更にゆっくりになった。

前に中井精也っていう鉄道カメラマン、かどうかよくは知らないけど、その人が旅を
しながら写真を撮って行くとうテレビ番組があって、たまたまそれを見た時、たまたま
この国のこのあたりの風景を撮っていて、とても美しいくて、それだけではない、なにか
内なる魂みたいなものも切り取って描き出してるような素晴らしいシーン、特に
登場する人物がそうおもわせることがおおかったんやけど、そういう写真が沢山見られて
とても感動したことがある。
プロが撮ると普通の景色が感動的なシーンになる?
プロが撮ると、どういうシーンをどう見たら感動できるかわからせてくれる?
こういう人たちは、気に入ったシーンを手に入れるまで何時間でもその場所で待っている
なんて聞いたことがあるけどわしの旅はそんなことはできへん。
すべての事は一期一会、出会ったことがすべて、さて何に出会えることやら。
峠を上り下りするあいだに崖の下には海が見える。
だんだん夜が明けそうになってきたけどこのまま海辺の景色がはっきり見えるようになってきたら
どんなにか素晴らしいんやろなあって思う。
とても有名な峠なのだそうだ。

寝てる場合ではない。

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ありがとうございました。