「ルーヂー」というのは日本語にできない。
ルーは「用」と言う字の上に片仮名のノの字がちょんとつく。
ヂーは真っ直ぐと言う意味の字だが、その「直」と言う字の下部のカギ形
の部分を真っ直ぐにして目とう字とくっつけたような字だ。
要するに土地の名前で特に意味はない。
「ルーヂーへ行ってくれる?」と聞くと、いとも簡単に、「ルーヂーかい」
と言って動きだした。
車は駅から蘇州市内の外れを通って高速道路へ、高速を通って郊外へと順調に
走って行く。高架、高架をすいすいと走ってしばらくすると、湖沼が見えて
来た。さすが太湖の国だ。
湖沼のそばを走ると更に気持ちがいい。
「えらい遠いなあ」
スピードが速いからかなりの距離を走っているだろう。
「もうじきや」道路標識にも「ルーヂー」の文字が見えてきた。
突然渋滞が始まった。道は広くて整備されているから、例の割り込み合戦
のデッドロック状態ではなさそうだ。じりじりじわじわと前には行っている。
「わかった」ジャリトラが横転しているのだ。
あとは順調、結局1時間強でついた事になる。
「ありがとう」とお金を払って、おりたその瞬間に不安がこみ上げて来た。
「どやって帰ろう」
「もしかして帰りのタクシーなんかないかもしれへん」
タクシーなんか殆ど走っていない。沸いているのは観光バスで来た観光客
達だけだ。
「さいごは公共バスがあるはずや」
来た瞬間から心配ばっかりしてもしょうない。
今迄とはかなり雰囲気が違う。
観光地というよりは、となりの田舎町と言う感じだ。
それでも水郷。
なんとなく落ち着く。
何にもなさそうやけど、落ち着きとかやすらぎとかを観光できそうだ。
江南の旅、ルーヂー01
- 2010年12月14日
- 浙江蘇、安徽他/黄山、古鎮、墨硯紙筆
- 古鎮の旅
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