中国、廬山&安徽、文房四宝の旅−44、安徽、歙県上荘「老胡開文墨匠」を訪ねる。

安徽、歙県上荘「老胡開文墨匠」を訪ねる。

今回は、文房四宝の作家の工房を訪ねたいという旅であった。計画を立てる段階で
墨をどうするか随分悩んだ。墨といえば安徽省、目的地そのものだ。しかし、今まで
何度か安徽省に来てるけど行ってから聞いて訪ねたらたいていは胡開文という工場へ
連れて行ってくれるか、胡開文の銘柄の入った墨を並べてる店に連れて行ってくれるか
だった。工場では日本でもよくあるように昔の行程を再現した観光用工房を見せて
くれて墨作りの体験なんてよくあるやつに出会うだけやった。それで買って帰っても
あんまりええなあって墨に出会った事がない。
中国では昔、明の時代は程君房とか方于魯とかいう名人がいたらしい。特にその作品の
表面に彫られた絵が芸術品として墨譜に残っているくらいやからすごかったんやろと
思う。どんなやつかというと岩波書店の中国詩人選集というシリーズの表紙あるいは箱の
絵につかわれているんでよくわかる。とても味のある水墨画といってもええくらいの
作品だ。

ということは、墨の良し悪しというよりは装飾の芸術性を狙ったんやろかと思ってしまう
くらいだ。どうも文房四宝となると本来の機能よりは見た目の美しさばかりを議論する
傾向があるようで、いろんな本を読んで勉強しようと思っても技術論があまり研究されて
ないんではないかと思ってしまう。
その後清の時代には曹素功と胡開文が銘墨を争ったらしいけど、その後油煙墨が
主になるにつれて品質が悪くなり、文革の時代に特にあかんようになったらしい。
胡開文という名も安徽省や上海の何社かに別れて引き継がれたというような事も聞いた
ことがある。
そんなわけで同じ轍を踏むのはおもろないんで事前に中国のガイドさんに調べてもらったら、
旧来の製法を守っている老胡開文という墨匠の工場があるということがわかった。
ならばぜひとも行かずばなるまい。
車はどんどん田舎に向かっていく。

こんなとこで魚を釣ってる。
銀杏の綺麗な村が多い。

3時間弱走って、何の変哲もない普通の田舎の村に着いた。

ここかと思ったらちょっと違ってたみたい。
ここは古い工場跡があるだけで、今は別の場所で製造してるみたい。ということで
又しばらく移動する。
ここだ。

いきなり工場の中に案内される。

いきなり熱気ムンムン、墨との格闘場面が出現した。

これだけで何故か心が圧倒されてしまう。心躍らせながら中に入る。
無塵室ではないけど靴と頭にカバーを被せる。墨の粒子に不純物が混ざってはいかんのだ。

観光用の墨作りではなくて本チャンやから真剣さがちがう。
薪窯のなかで膠と炭素の粉が練り合わされていく。ものすごい体力が要りそうだ。
できたやつはしばらく寝かせておく。

こんなんを見ると嫌が上でも期待が高まる。

老胡開文墨廠
住所 安徽省績渓県上庄

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ありがとうございました。