高鉄(新幹線)で3時間の旅は楽しい。
さて、ホームに降りたらもう列車が待っている。やっぱりゲートが開くのが遅いんと
ちゃうかと思う。せわしない。幸い階段を降りたとこがわしらの乗る号車の入り口やった。
車内も慌ただしい。
しかし、気いつけんと中国の列車は時間がきたら音もなくスッと出る。外に出て
写真撮ったりしてたら置いていかれるのだ、発車のベルが鳴り響く中、遠距離恋愛中の
男と女が目と目を合わせ泪の分かれ、なんてできないのだ。そもそもチケットを
持ってないとホームに入れない。親元に帰る孫を見送ってちぎれるほど手を振る爺さんや
婆さんの姿も見られないのだ。
列車が出たらホームには降りた人しか残らない。
列車の中は大賑わい。外は日本の新幹線そっくりやけど、中も日本の新幹線そっくり。
独自技術で開発したら行き着く所は同じようになったということらしいけど
ほんまかいなと思ってしまう。真似することになんの不安も躊躇もない性格の人が
多い国柄らしいんでついそう思ってしまうのだ。
2座席と3座席のシートがずらりとならんで殆ど満席になってしまった。
さっそくわーわーやってはる。昔ほどはやかましくないけどやっぱり声がでかい。
座席を回転させて6人向かい合わせになってトランプを始めた。
中国人は麻雀が好きって昔からよく言われてて、確かに旅に行った時には田舎の町の
朝早くから土間を開け放って麻雀卓を囲んではる姿をよく見たもんやけど、それと
同じくらいトランプをやってる人たちもよく見かけた。トランプでもいろんな遊びが
あるけど何をやってるかはようわからん。えらい楽しそうだ。まさかブリッジでは
ないやろけど、ババ抜きでもなさそうだ。
やっぱりポーカーかな? 賭け事が好きそうやから。
実際、お金をかけることも多いらしい。
そのうち人が集まってきて、後ろに回って見る人、よこから覗き込む人、振り返って
話しかける人、様々に賑わってる。
時々、車内販売のワゴンが回ってくる。
お菓子や飲み物、熱いコーヒーやらアイスクリームやら色々有って、皆さんよく買っては
食い、買っては喋り、疲れることを知らないらしい。
ただし、弁当は乗ってないようだ。多分弁当は頃合いになったら注文を取りに来て、暖かい
やつを持ってくるんやと思う。
中国の人は冷たくなった食事を好まない。
そやから、各車両のデッキには必ず熱いお湯をいれたポットを置いてるか、給湯器がある。
必ず持ってきてはるお茶の淹れものに加湯する必要があるからだ。
これを利用してインスタントラーメンを作って食う人もいてはるけど今回は見当たらへん
かった。
ワゴンの合間に、個別に売りにくるものもある。
掃除のおばさんも来る。
休む暇がない。
わしは暇やから居眠りしてる。
上海から南昌まで3時間の旅、これを2時間ほどで行く列車もあるらしい。停まる駅の
数の違いだ。わしらもそれで行きたかったけど、なぜかその便は運行されなかったらしい。
お上の都合は庶民にはわからない。
3時間はかなり長い。殆ど時速300km以上で走ってるみたいやけど行く先は遥か彼方なのだ。
どんどん日が暮れてくる。
停まる先々で人が降りては乗ってくる。発車のベルが鳴らへんからその動きに気がつかんことも
多い。車内はだんだんと混んできて立ち席の人も出始めた。
疲れて立ち上がって別の席におしゃべりに行ってる人もいてる。通路はワヤワヤと
わけわからん状態になっている。その合間をくぐり抜けながら車内販売のワゴンが
通っていく。
わしの前の席では子供がむずがりだしたんでお父さんが子供をつれてあっちにいったり
こっちにいったり、暇やけど退屈してる暇がない。
只々唖然としてるうちに南昌に到着したらしい。
降りる人以上に乗ってくる。変わらない濃密さを載せたまま列車は去っていった。
大きな街やから駅も大きくて綺麗。降りてくる人も多い。
ポール・セローの「中国鉄道大旅行」というのが面白かった。
旅をした頃は新幹線はなかったんで在来線の旅である。内モンゴルから北京、蘭州、
西安から四川へ、ハルピン、大連やアモイ、最後はチベットまで中国各地を列車で
それこそ大移動してはる。とてもおもしろそうで、これに憧れて鉄道の旅を色々画策
したこともあったけど、事前にチケットを予約するのはとても難しかった。出たとこ勝負で
当日券を買って成り行き任せで行ったりきたり、何でも食ってどこでも泊まる。
時間と体力に余裕がなかったらとてもむずかしいということがわかっんであんまり
実現できてへん。
今、これだけ新幹線の鉄道網が全土に張り巡らされつつある状況やともっと素晴らしい
旅ができるようになったんかもしれん。
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ありがとうございました。