彼岸花が咲いていた

毎日歩いていると、田圃の様子が季節ごとの移り変わっていくので面白い。
田植えの準備で田地を整えて、水を引き水を張る季節があった。
その田植えが終わると、田圃は緑一色になって、いかにも爽やかだ。
そのまま2か月、3か月と緑が成長して、だんだん黄色くなっていく。
黄色の中に稲の粒が見え始め、ぷちぷちと大きくなった頃に収穫だ。
もう今はさすがに殆どの田で収穫が終わっているが、少し前までは、豊かな黄色で
満ちていた。丁度その頃に彼岸花が咲くのだ。
稲の真っ黄色の端に真っ赤な彼岸花が群れていると、色のバランスが絶妙だ。
彼岸花というのは毒草だそうだから、稲を食いにきた悪い動物が、彼岸花の毒に
やられてころっといくようにと植えらているのだそうだ。
見てるだけではころっといかないから大丈夫だ。
さて、こういう風景をちょこっと画に描いてみた。
どんな文をつけようか。
こんなのはどうだろう。
十月、稲を穫(か)り、此の春の酒を為(つくりて)、以って眉(び)寿(じゅ)を
介(たす)く
十月に、稲を刈ったら来年の春の為の酒を造ろう。
それができたら長寿を祝って老人に飲んでいただこう。
というような意味らしい。詩経にある詩だ。
漢詩を読んでいると、詩経から出典された言葉が良く出て来る。
もともとは中国古代にできたもので、民間に謡われた歌謡のようなものや、
高貴な席での雅歌のようなもの、あるいは祝詞のようなものを集めて孔子が整理、
編纂したものだという。
日本の万葉集のように、古代人の素朴なこころがそのまま謳われていて、
それがいいのだ。

higan101017