更に少し寄り道をして京都に向かったがチェックインの時間には余裕がある。
京都市内の少々の渋滞を抜けて、妙心寺まで着いた。
「その横の脇参道みたいなところに突っ込んで行ったらええんちゃうか?」
それはいいけど、この大きな車でにっちもさっちもいかんようになったら怖い。
「とりあえず確認します」
言われたとおりすすむが、路は狭い。目一杯で右に曲がると、更に左に曲がらないと
いけない。
「あっ、当たる」車内からも声があがる。何度か切り返して、
「やっと入った」
「車、あそこに置くんですか? 入らんかったらどないしょう?」
「入らんと、こまりますなあ」やっぱりそっけない。
夕暮れてきた門を入ると、東林院の玄関がひっそりと開いていて薄明かりがついている。
門から玄関までの庭も閑かなたたずまいだ。
「えとこやなあ」
「すばらしい」中国の人も感動している。
沙羅双樹の庭を見ながら玄関から渡り廊下を真っ直ぐ進むと突き当りに右にむかって
和室が並んでいる。こちらと向こう2列3室ずつくらいだ。
1室に2人ずつくらいで配置してくれていた。
ゆったりだ。まだまだ入っても全然問題ない。
突き当りの部屋の前は、かなり大きな庭になっているがもう暗くてよく見えない。
明日朝ゆっくりみよう。
電灯やエアコンはこまめに消そうと書いてあるが、当たり前の事だ。
日ごろのゆるゆるの気持ちを引き締めないといけない。
「先に風呂に入っとこう」風呂の時間も決まっている。
中国の人がタオル持ってないとい言い始めた。ホテル感覚でいたのだろう。
「すみません。タオル貸してもらえませんか」恐る恐るたのんだら、
「何人分ですか?」きびしいようで、口調は厳しいようだが、実はやさしい。
夕食は頼んでいなかったので外に食べに行って帰ったら、もう真っ暗だ。
虫の鳴く音が聞こえる。
「ええとこやなあ」
こんなところに泊まれてよかった。
ここの朝食の精進料理は有名だ。
「楽しみやなあ」