夜は庭から、「リーン、リーン」と虫の声が聞こえていた。月明かりの庭もいいが、
朝早く起きたので、回ってみることにした。
中国の人達ももう起きていて、写真撮影に余念がない。
「京都のお寺に泊まってみたい」との事であったが、特に修行したいというわけでは
なさそうだ。
朝のお勤めにも頼めば参加させてくれたかもしれないけど、その必要はなかった。
今はもう季節が過ぎてしまっているので、沙羅双樹の花は見られない。
平家物語りの冒頭、「・・・・、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。・・・」
「どんなんやろ?」、興味あるなあ。
外国の人はあまり興味なさそうやけど。
ここのお庭は普通は非公開だそうだ。宿泊したから見せていただけるのだ。
見ないで泊まるのは難しいけど、それは屁理屈というものだ。
ここの御住職はいろいろとモノづくりを楽しんでおられるようだ。玄関の庭には
面白いものがたくさんある。
蛙?
「帰るとき、来た時よりも美しい」
なるほど、その通り、心が洗われました。
さて、7時半。朝餉をいただく時間になった。
一見なんの変哲もない野菜だけの朝ごはんだが、これがおいしい。
中国の人達は特に杭州から来た人たちだから、味にはうるさい人も多いと思う。
が、みなさん、「おいしい」顔をしている。
特に青菜のおひたしがおいしいそうだ。
私もそう思う。
海苔は余分だが、煮ものもおいしい。
ごはんはお代わりできる。もちろんお茶は、食べ終わったご飯の椀で食べカスを
洗い落しながらいただくのだ。
私も一晩、宿坊経験の為に泊まったわけだが、なかなかよかった。