中国、湖南省、貴州省、少数民族の旅-17、鳳凰古城から鎮遠へ。

雨の中でスケッチをするのは結構面倒だ。傘をさして、スケッチブックを持って、
ペンを持って、手は2本やから3つ持つのは難しい。傘を持ってペンも持ってたら絵が描けへん、
スケッチブックもってペンも持ってたらもちろん絵が描けへん。傘を持ってスケッチブックを
持つしかない。スケッチブックはしっかり持っとかんとあかん。
結局は傘がおろそかになってベトベトと濡れることになる。わしより、スケッチブックが
濡れるのがちと困る。

いくつか描いたらもうおしまいにしようとくじけてきた。それにもうあんまり時間がない。
では、老街の様子をみながらちゃっちゃと帰ろう。
で、思い出した。この街で酒を買うんやった。そやから来た時からチョロチョロ物色
してたはずだ。それを思い出しながら一軒の酒屋に立ち寄った。ひと抱えはありそうな
酒の壺がいくつも並べてある。それぞれに自家製の白酒(バイヂュウ)が入っている。
「飲んで見る?」って聞いてくれる。「たのむわ」、喜んでいただく。
どれも美味しい。立て続けに4、5杯飲む。もちろん小さいグラスやけど結構まわる。
どれも美味しい。飲んだからには買わんとあかん、というか最初から買う気満々で
ここにいる。どれにしようか悩ましいけどあんまり時間をかけてるわけにもいかん。
これにしようか、「土匪」って甕に描いてある。いかにも山の中でざくっと造られたって
感じがする。名前の気分だけで買いそうやけど味はワイルドというよりは繊細で
ビリっとしてて深みもある。「これを1斤下さい。」、ここは量り売りなんで、
重さで注文するとおっちゃんがひしゃくですくってプラスチックの瓢箪みたいな
容器に入れてくれるのだ。沢山買って日本に持って帰れたらええんやけどこの容器が
曲者なのだ。ここのはどうかはわからんけど、中国で酒をかったらどの容器も
キャップのところから微妙に酒が滲み出してくるのだ。酒屋とかスーパーで買った
酒でもそうなる。飛行機に乗るときは酒をスーツケースに入れて預け荷物にせんと
あかんから、スーツケースの中で酒がもれてえらいことになる。そのために酒を
買ったらキャップのところをセロテープで止めて全体をポリ袋に入れてと結構
面倒なのだ。で、今回はとりあえず1本買って、おいしくて、漏れないようやったら
他の古鎮でもっと買って日本に持って帰ろう、漏れるようやったら旅の間に飲んで
しまおうと考えてた。とりあえずは漏れてないけど後どうなるかお楽しみだ。

酒を買うのにえらく手間取った。もうあんまり時間がない。ちゃっちゃと集合場所に
戻らんとあかん。雨の中をちゃっちゃと歩く。
バスの中は雨が降ってない。ここから約220キロの旅だ。貴州省鎮遠というところを
目指す。もう15時を過ぎてるから着くのは夕方になってしまうやろ。

いつものように2時間に20分の休憩をとりながらゆったりと行く。安全運転やから
ありがたい。走り始めたらじきに貴州省に入る。隣り合わせやから近いのだ。
省が違うと暮らしぶりも違って来てそれを見ながら走るのも楽しみの一つなんやけど
高速を走ってたら只々コンクリートの道が見えるだけだ。
19時頃、鎮遠の街に着いた。

「おおっ、ええとこやん」、皆の歓声があがる。大きな川の畔りにある街で、密集した
家々がいい感じの風情になっている。

とりあえず雨はやんでいる。

どんどん暗くなっていくけど、老街はそれがええ感じになるのだ。

石畳の街を歩きながら、老街を、と言うても観光用の土産もん屋街なんやけど、
感じながら、晩御飯を食べに行こう。

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ありがとうございました。