雁蕩山の見学はほぼ終わりになりそうな頃、ガイドさんがわしに相談があると
いう。この日は予定より早く終わりそうなんで、あと一カ所くらい行けそうや
というのだ。車で一時間ほどの所に古い鳥居(ガイドさん曰く)が沢山ある村
があるんで面白いんちゃうやろかという提案だ。
このガイドさんは、知り合いの土産物屋やレストランなんかに無理矢理に連れ
て行くようなことは一切ないし、コースの選定や時間の使い方などもこちらの
要望通りにしてくれる、わしらのようにわがままな注文が多い旅行者としては
得がたいガイドさんだ。その人が一生懸命言うんやから面白い所そうで気になる。
「では、そこへ行きましょう」と言うことになった。
ガイドさんは適当な日本語がわからないんで鳥居と言ったけど、間違いではない。
鳥居のような形の門碑が中国にはよくある。日本の神社の入り口にあるのと、
元はと言えば起源は同じなんかもしれん。世界遺産になっている安徽省の古鎮
にもそういう場所は沢山あった。そういう門が沢山ならんだ場所だと思う。
車で走ってるあいだに段々日が暮れてきた。
そこは所謂観光地ではないらしい。案内の看板も何もない。ちょっとわかり辛
くて行ったり戻ったりしながらやっと見つけた。
この奥の方らしい。こういう門が並んでいるのだ。
進士がどうとか書いてあるから、中国の昔の超難関と言われた役人登用試験で
ある科挙の最終選考に合格したというお祝いなのだろう。進士に合格すると、
高級役人になれる事が約束されたようなもんやから、将来の富や一族の繁栄も
ゲットできたようなものだ。そやから、一族揚げて、村や地方揚げて応援する
し、お祝いする。
そういう結果がこういう門になるんやろねえ。
奥の方にも次々に門があるようだ。
そしてその間には、ごく普通の生活がある。これがええねえ。
ずずっと奥まで行ってみよう。
まだ先がある。この一族からは次々に偉い人を輩出したんやろねえ。
すごいなあ。
あっ、ええなあ、麻雀してはる。
混ぜてほしい。
学校帰りの子ども達、
まだまだ門が続く、
そろそろこのあたりでおわりかな?
日がとっぷり暮れてきた。
奥でご飯食べてはる。
散髪屋さんは客がいない。
ええなあ。心落ち着く風景だ。
これが進士さんかな?
一人寂しく晩ご飯を食べるのも絵になる。
こんな家、
こんな瓦屋根、
素晴らしい。
名残は尽きないけど、とうとう真っ暗になってしまった。
しかし、ええとこやった。
ここは中国人の観光客でさえ来ないところらしい。
何時の日か、世間に知れてしまって観光化して、俗化していくんかもしれん。
それまでこの空気を保って行って欲しいものだというのはわしらの身勝手なん
やね。
ガイドさんにええとこに連れてきてもらった。
ありがとう。
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