中国、江南、浙江の旅-27、沈園へ

水郷の古鎮をすぎて紹興の街に入る。紹興というところは観光地としては不思
議な所だ。簡単に言えば何もない。昔のまま残っているものは殆どなくて、無
理矢理改修されたり後付けされたりした史跡が多いような気がする。
そやから、紹興にまつわる昔の逸話や物語り、詩人や文人、武人などの著名人
の事を知ってる人はそれに結びつけて、昔を懐古するんやけど、そんなん知ら
わと言う人にとっては、何のこっちゃわけわからん、おもろないとこやんかっ
て思うだけなのだ。
例えば、このあたりには会稽山というところがある。何の事はない唯の小さな
山やんかと言うてしまえばそれきりやけど、遙か昔、呉と越の争いのあった時
代にはこの山にまつわる或いは、この近辺で起きた様々な歴史上の事件に思い
をはせると2000年くらいの時空を越えて物語が立ち上がって口のまわりが
うずうずしてくるような人もいるくらいなのだ。
まあ迷惑至極な話やねえ。
さて、それでもわしは陸遊という詩人が好きなんで、この人にまつわる沈園と
言う庭園に皆さんを連れて行くことにしている。
皆さんごめんなさい。他にあんまり行くとこないんやわ。
おっとここにも烏蓬船がいてる。

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この石って、陸遊と唐婉の別れを表してるんやろか。

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ここはなかなかお洒落な庭園なのだ。

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太湖石は定番どおり。

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奥まで行くと、メインの吾妻屋の様子がおかしい。
掃除の為に池を干上がらせてるようだ。

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陸遊の詩にみたいやね。

城上斜陽、画角哀し
沈園、復旧池台に非ず
傷心、橋下、春波緑なり
曾て是れ驚鴻の影を照し来る

夢は断たれ香は消えて四十年
沈園、柳老いて綿を吹かず
此の身は行く稽山の土とならんも
猶お遺蹤を弔いて一度泫然たり
それでも紅葉が少し美しい。

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対岸の東屋が風情があっていい。

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昔はここで拓本なんかを売っていた。
この木は水墨画によく出て来る形。
梅の木かなあ?

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一番奥に陸遊と唐婉の相聞歌の石碑がある。
一度は分かれた夫婦が図らずもこの庭園で再会したのだ。
詩の題は、「釵頭鳳 」

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・・・・
一懐愁緒 幾年離索 錯錯錯
・・・・・
・・・年を重ねれば重ねるほど、思いはつのる。
間違いだらけの人の世の中・・・
同じ題で唐婉が返す。

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・・・・
難、難、難 人成各 今非昨、
・・・・
・・・難しい世の中、人それぞれにならざるを得ず、
もう今は昨日とは違ってしまった・・・・

母親に無理矢理別れさせられた男の話やから、いろんな事情があったんやろけ
ど、唯のマザコンちゃうのとも思ってしまう。
ガイドさんが一生懸命説明してくれるけど、もひとつ盛り上がらない。
ちゃっちゃと次に行こう。

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ありがとうございました。