あんのわしらはうとうと寝てしもたけど、別に慌てて起きる必要はない。その
まま寝てたらええんやけど、船が出てしばらくは、瀬戸内の島と島の間を縫う
ように走るんで結構景色に変化があって面白い。
このへんは音戸の瀬戸って言うんやろか。
平清盛の世界やね。
海上交通の難所らしい。
ここから先は、唯々広い海。遥か先の方に見えるのが四国、愛媛の陸地なんや
ろか。寝たり起きたりしてると２時間は短い。あっと言うまに松山観光港に着
いた。先を急ぐ人はいない皆のんびりおりていく。デッキから見てたら、船に
乗るのを待ってるんやろか桟橋の階段に仲良しおばあちゃんたちが３人座って
おしゃべりしてた。ええ感じや。スケッチしたかったけどわしらはちょっとだ
け先を急ぐ。
通路を通りすぎて、港湾駅を出ると、ちょうどええ具合にバスが待っていた。
船から松山市内までどう連絡するか事前にネットで調べたけどバスがあると
いうくらいしかわからなかった。聞いてみると、高浜というすぐ近くの駅まで
バスで連絡して、そっから電車に乗っていくのだそうだ。
バスを降りて電車の切符を買う。
電車はじきに来た。まあ連絡してるんやからあたりまえなんやろけど。
綺麗な電車だ。空いてはいるけどがらがらではない。
沿線には桜が満開だ。
これは松山城も期待できるなあと思う。
走るにつれて人が乗ってくる。よう考えて見たら、この電車はどこへ行くやつ
で、わしらはどこで降りたらええかまだわかってへんかった。
路線図を見てみよう。
予定では、まずJR松山駅周辺まで行ったら昼飯を食うところくらいいくらでも
あるやろと考えてた。後でわかったけどご飯屋さんを探すんやったら、駅前は
決してふさわしいとこではなかった。しかしこの時にはまだわからへん。
ネットで調べたご飯屋さんの住所を思い出した。
「大手町で降りよう。」
大手町って言うくらいやからお城にも近いはずや。
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ありがとうございました。