昔、昔、北杜夫の「白きたおやかな峰」と言う本を読んだことがある。カラコ
ルムの未踏峰ディランという山に挑んだ日本遠征隊の遠征隊が初登頂に挑んだ
ときの話だ。
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あの岩と雪の織りなす微妙な陰影、あの複雑な隆起と陥没、あの肌理こまやか
な優雅さと峻厳な重量感、自然が太古から一鑿々々彫り刻んできたこの荘麗な
記念碑を、一体どう表したらよいのか。
**** 北杜夫、「白きたおやかな峰」新潮社より。
こういうモノに魅入られてしまったら、どんなことがあっても登るしかないの
だ。しかし、高度7千メートルを越える山には魔物が棲んでいるらしい。
妖しい生き物ではなくて、気圧の低さと酸素不足が人間におよぼす影響力の事
だ。どんなパワーと気力の持ち主からもそれを奪ってしまうし、正常な判断力
も奪ってしまう。そんな中でも、たとえ死ぬことがあっても、行かなあかんと
頑張ってしまう難儀な人たちの物語だ。
この映画の中では、それに加えて、もう一つの魔物がいた。
自分こそが英雄になりたいという名誉欲への執着だ。
チームワークがなければ成し遂げられないと誰もが頭の中でわかっていて、
実行リーダーの決めることは絶対やと皆が思って行動せんとあかんと分かって
いて、それでもその判断が納得いかん。
ほんまに実行リーダの判断が正しいか。
隊長はほんまに実行リーダと同意見なのか。
華々しい成功のかげにもやもやが残った。
こんな事って日常の暮らしの中でもあるよなあ。
いろいろ考えて思い出すやんか。
「それはないやろ」って言うやつ。
それにしても、エベレストの山々は優雅で峻厳でおおきい。
前に、インドのシッキム州ガントクで、カンチェンジェンガを見た時そう思た。
あのへんやからこれくらいかと遠近感で思うような位置でも、想像以上に大き
な姿で聳えているのだ。
世界の屋根はすごい。
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ありがとうございました。